2022年版総合管理受託戸数ランキング(グループ上位5社で34.3%、15社で61.2%)<マン管新聞>〜人件費・資材の高騰、協力会社からの値上げ要請等、大手中心に「管理見直し」顕著に。管理組合の理解得られず、委託契約解約ケース増加へ〜

投稿日:2022年06月02日 作成者:右田 順久 (1028 ヒット)

マンション管理新聞社は、管理会社各社の2022年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2022年度版として発表【表1は上位15社。16位以下は省略】する。同集計には部分管理や賃貸管理戸数を除いた。集計した管理会社は534社。
4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。
「グループ別ランキング」【表2】は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。

総合管理受託戸数上位15社の顔触れを掲載【表1】。東急コミュニティが50万戸を突破し、業界首位に踊り出た。昨年10月1日、コミュニティワンを吸収合併したことによるもので、受託管理戸数が1社で50万戸を超えたのは業界初。
ループ上位15社【表2】の顔触れに変化はなかった。大京グループが1位を守ったが、昨年より953戸(昨年3814戸増)減らした。大京アステージ単独では1870戸(昨年は2080戸増)減らしている。ここ数年続いている「管理見直し」の影響と考えられる。
◇◇
昨今の人手不足、人件費や資材の高騰、協力会社からの値上げ要請などを背景に、管理組合に対して、「管理委託費の値上げ」や「管理仕様の変更」などを申し入れた結果、受け入れられず、管理委託契約が契約解約になるケースが管理会社大手を中心に増加している。三菱地所コミュニティは昨年より5545戸減らした。前回も1906戸減らしており。2年続けて受託管理戸数減だ。リゾートマンションなど遠隔地の管理事業見直しが減少幅を広げた要因だ。  デベロッパー系列の管理会社が総じて受託戸数の伸びを鈍化させているのは、分譲マンション供給の減少も一つの要因となっている。
◇◇◇
不動産研究所の調べで、21年こそマンション発売が前年比29.5%増となったが、20年は前年比15.2%減、19年が前年比12.0%減と2年連続で発売戸数を減らしており、系列管理会社の受託戸数減にもつながっていた、といえる。  独立系会社がそれぞれ増加戸数1000戸【表3をご参照】を超えたのは、前述した管理会社大手中心による管理見直しの動きが大きく影響したと思われる。

*マンション管理新聞:2022年(令和4年)5月25日付第6面より抜粋

 

管理会社上位15社の顔ぶれ (2022年版) 【表1】

順位 前年順位 管理会社 受託戸数
1位  4位 東急コミュニティ 504,334戸
2位 1位 日本ハウズイング 478,240戸
3位 2位 大京アステージ 429,786戸
4位 3位 長谷工コミュニティ 382,174戸
5位 5位 三菱地所コミュニティ 328,174戸
6位 6位 大和ライフネクスト 275,846戸
7位 7位 合人社計画研究所 229,708戸
8位 8位 三井不動産レジデンシャルサービス 205,226戸
9位 9位 住友不動産建物サービス 174,838戸
10位 10位 野村不動産パートナーズ 170,493戸
11位 11位 日本総合住生活  161,421戸
12位 13位 あなぶきハウジングサービス 143,653戸
13位 14位 穴吹コミュニティ 111,408戸
14位 15位 伊藤忠アーバンコミュニティ  107,125戸
15位 16位 グローバルコミュニティ 101,901戸

 

 

       グループ別ランキング(2022年版) 【表2】 ※(G:グループの意味)

1位 大京G                541,194戸

2位 東急コミュニティG          527,673戸

3位 日本ハウズイングG          479,060戸

4位 長谷工管理ホールディングス      410,412戸

5位 大和ハウスG             377,747戸

6位 三菱地所コミュニティ         328,529戸

7位 三井不動産レジデンシャルサービスG  267,980戸

8位 合人社計画研究所G          262,229戸

9位 あなぶきハウジングサービスG     185,170戸

10位 住友不動産建物サービス       174,838戸

11位 野村不動産パートナーズ       170,493戸

12位 日本総合住生活           161,421戸

13位 伊藤忠アーバンコミュニティ     107,125戸

14位 日本管財G              98,969戸

15位 東京建物アメニティサポート      78,773戸

 

 

            増加戸数ランキング位(上位15社) 【表3

1位 東急コミュニティー※         162,692戸

2位 あなぶきハウジングサービス      12,306戸

3位 長谷工コミュニティ           8,414戸

4位 日本ハウズイング            8,342戸

5位 合人社計画研究所            6,665戸

6位 南海ビルサービス※           4,190戸

7位 野村不動産パートナーズ         3,517戸

8位 三井不動産レジデンシャルサービス    2,620戸

9位 エスリード建物管理           2,513戸

10位 サニーライフ              2,478戸

11位 ライフサポート西洋           2,445戸

12位 レーベンコミュニティ          2,429戸

13位 エステム管理サービス          2,075戸

14位 積水ハウスGMパートナーズ       1,953戸

15位 住友不動産建物サービス         1,644戸

※買収・合併・事業譲渡含む

*上表はマン管新聞:2022年(令和4年)5月25日付第1・6面より抜粋

 

『管理計画認定制度』都内は1区3市で開始~「改正適正化法」が全面施行・適正化推進計画制度開始〜

投稿日:2022年05月01日 作成者:右田 順久 (632 ヒット)

おととし6月に公布された改正マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法が4月1日、全面施行され、マンション管理適正化推進計画制度、団地の敷地分割制度がスタートした。
          
    国交相が定める基本方針(マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針・マンションの建替え等の円滑化に関する基本的な方針)もそれぞれ施行されている。
マンション管理適正化推進計画は、マンション管理新聞の調べでは4月1日時点で少なくとも45自治体の策定が確認できた。内訳は都府県14、市30、東京特別区1。
 市区部では31市区中27市区が4月1日から管理計画認定制度をスタートさせている。
東京都内では5町村8村に加え23区内では板橋区、市部では八王子市・府中・小金井市の1区3市で管理計画認定制度が始まった。
大阪府は9町1村に加え大阪・豊中・吹田・岸和田・茨木・箕面の6市が計画を開始していると見られる。

(マンション管理新聞:令和4年4月5日付け記事より抜粋)

東京都の届け出制度で状況把握(昨年末時点で80.1%が届け出)~15.9%に『管理不全の兆候』、目立つ計画修繕未実施〜

投稿日:2022年04月08日 作成者:右田 順久 (662 ヒット)

おととし4月にスタートした東京都の管理届け出制制度で、届け出を済ませたマンションの15.9%が管理組合がないなど「管理不全の兆候がある」と判断される状態にあることが分かった。東京都が2月14日に公表した「東京マンション管理・再生促進計画」の改定案で、届け出制度によって把したマンションの状況を報告している。

   改定案によれば、届け出義務がある1983年以前竣工・6戸以上の「要届け出マンション」のマンションは約1万2000棟。このうち9436棟が届け出を行っている。母数は1万1786棟としており、届け出率は昨年12月末時点で80.1%。届け出を行った9436棟中1497棟(15.9%)は「兆候あり」と判断された。
◇◇
   同制度では管理組合・管理者等・管理費の有無に加え、管理規約の有無と最終改正年、年1回以上の総会開催の有無・総会議事録の有無、修繕積立金の有無・1平方メートル当たりの月額、修繕の計画的な実施の有無・直近の実施年――について届け出をするように規定。
この7項目のうち「なし」が一つでもあった場合は「管理不全の兆候がある」と判断される。7項目中「なし」が複数あったのは662棟(44.2%)2項目「なし」は330棟(15.4%)、3項目「なし」は149棟(10.5%)。7項目全て「なし」と答えたマンションも33棟(2.2%)。
「なし」が1項目のマンションで最も多かった項目は「修繕の計画的な実施」だった。
◇◇◇
 届け出を行ったマンションのうち旧耐震基準による建築は6874棟。耐震診断を実施したのは2203棟で全体の32.0%にとどまった。
このうち1138棟が「耐震性なし」と判定されている。1138棟中耐震改修を実施したのは298棟だった。

(マンション管理新聞:令和4年3月5日付け記事より抜粋)

管理計画認定マンション対象にインセンティブ設定へ(住宅金融支援機構)~「すまい・る債」利率も上乗せ・0.25%金利引き下げ・フラット35も当初5年間〜

投稿日:2022年03月02日 作成者:右田 順久 (1661 ヒット)

住宅金融支援機構は2月16日、2022年度予算案等の概要を公表した。
4月に始まる管理計画認定制度の認定を受けた「認定マンション」を購入する際の借入金利を当初5年間・年0.25%引き下げるなどの「維持保全型」をフラット35に創設。
認定マンションが「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際の融資金利を0.2%引き下げる。認定マンションには「マンション住まい・る債」の適用金利に利率を上乗せする制度も創設する。

共用部分リフォーム融資では、金利引き下げ対象工事に断熱改修と省エネ設備等設置工事を追加する。耐震改修・浸水対策を行う際と同様の融資金利・返済期間が適用される見通しだ。今年2月の融資金利は1年以上10年以内の場合は0.43%。「フラット35」の「維持保全型」は基本的に4月の適合証明書交付分から適用する。
利用条件は➀長期優良住宅、➁管理認定制度の予備認定を受けた新築マンション、③管理計画認定マンション、④安心R住宅、⑤インスペクション実施住宅、⑥既存住宅売買瑕疵保険付保住宅―のいずれかに該当する住宅。②の「予備認定―」は昨年11月、フラット35における融資金利について当初5年間の0.25%引き下げを発表していた。維持保全型は「リノベ」を除く、他のフラット35(S・地域連携型・地方移住支援型)との併用も可能。維持保全型とSの金利Aプランを併用した場合、当初5年間は0.5%、6~10年目までは0.25%金利が引き下げられることになる。
マンション共用部分リフォーム融資における金利引き下げは今年10月の申し込み受け付け分から適用する。

認定マンションが融資を受ける場合、期間中の融資金利を年0.2%引き下げる。返済期間が10年なら引き下げ期間は10年間となる。
マンションすまい・る債権積立の管理組合に適用される金利引き下げ、耐震改修工事等に適用される金利引き下げとの併用も可能だが、下限金利を定めている。
認定マンションに対するマンションすまい・る債への利率上乗せは23年度募集分から適用する。上乗せ幅は各年度募集分の利率決定時に決める。
◇◇
今回の措置は、主に管理計画認定制度のおける認定マンションに対するインセンティブ(誘因策)の一環。

(マンション管理新聞:令和4年2月25号の記事より抜粋)

『住宅マスタープラン案』東京都公表~適正管理・再生を促進・2月26日まで意見受け付け〜

投稿日:2022年02月12日 作成者:右田 順久 (644 ヒット)

30年以上の長期修繕計画(長計)に基づく修繕積立金額を設定している管理組合の割合、2030年度末には全体の8割に―。東京都が127日に公表した住宅マステタープランの改定で、こんな政策指標が掲げられた。
 ◇
従来のマスタープランでは長計の設定期間は25年だったが、今回の見直しで30年に改められる形だ。管理状況の届け出を行った「要届け出マンション」の割合は、30年度末までに100%を目指す。同プラン案に示された政策指標を(下表を参照)示した。関連する観測・実況指標として建て替え等の件数なども提示している。
実況指標は他に大規模災害への備えとして一定の取り組みを実施しているマンションの割合を提示。災害時のマニュアルを作成しているマンションの割合は31%だとしている。
◇◇
案では「安全で良質なマンションストックの形成」を目標に、2大施策としてマンションの適正な管理と老朽マンション等の再生の促進を提示。
「適正な管理」では管理不全の兆候があるマンションに専門家を派遣し長計作成等の支援を行う。第三者管理者方式の円滑な導入支援、ITを活用した総会・理事会が開催できることを普及する、などを具体的施策として掲げた。
管理計画認定制度では認定取得を支援し、また認定情報や管理が良好なマンションに関する情報を「マンションポータルサイト」などで発信する。
「再生」は建て替え計画等の検討支援などに加え、専有部分を集会室やテレワーク用のコワーキングスペースなどに改修し共用部分に変更する場合の合意形成の要件緩和などについて国に要請する、としている。
◇◇◇
「環境性能の向上」として太陽光発電・電気自動車充電設備設置の促進、アドバイザー派遣などを挙げた。
敷地内に太陽光発電設備を設置できない場合は隔地での設置や再エネ由来電力の共同購入の促進など、管理組合が環境性能向上の手法を選択できるよう支援に取り組む、などとしている。
ほかでは優良な管理が行われているマンションが市場で適切に評価されるよう「価格査定マニュアル」(公益財団法人不動産流通推進センター作成)に維持管理に関する査定条件の充実等を図るよう、同センターや国に要請するなどの施策も掲げた。計画期間は21~30年度。年度内の策定を予定している。
案は住宅政策本部のホームページなどで閲覧できる。意見は2月26日まで受け付ける。(詳細は同ホームページを参照)

(マンション管理新聞:令和4年2月5日号の記事より抜粋)

 

★以下の表は上記の記事とセット掲載。

関連する政策指標

◆30年以上の長期修繕計画に基づく      68.1%*  ⇒  80
修繕積立金額を設定している分譲    (2021年1月時点)2030年度末)
マンション管理組合の割合◆管理状況の届け出を行った要届け             67.8%  ⇒  100出マンションの割合          (2020年度末)  2030年度末)◆マンション再生まちづくり制度適用     1管理組合  20管理組合地区内において再生に係わる決議等   (2020年度末)  2030年度末)

の手続きを行った管理組合数

◆マンションの耐震化率            94.4%  ⇒ おおむね解消

(2019年度末)  2025年度末)

*参考値(25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を設定している
分譲マンションの割合

 

関係する観測・実況指標

◆管理適正化推進計画を作成した区市の全区市数に 2022年4月1日改正法施行)

対する割合

◆東京都優良マンション登録表示制度の認定を受け   217件(2020年度末)

ているマンションの数

◆マンションの建て替え等の件数(累計)      約180件(2019年度末)

◆旧耐震基準のマンションの耐震診断の実施率     32.6%(2020年度末)

◆全部または一部の窓に二重サッシ以上または複層   29.5%(2018年度末)

ガラスの窓を使用しているマンションストックの比率

 (マンション管理新聞:令和4年2月5日号の記事より抜粋)                 

                                     以上

 

“当初5年間0.25%引き下げ”・住宅金融支援機構「フラット35」~管理計画認定制度の「予備認定マンション」〜

投稿日:2022年01月31日 作成者:右田 順久 (846 ヒット)

住宅金融支援機構は昨年11月30日、令和4年4月開始予定の月管理計画認定制度の「予備認定」を行った新築マンションにおける「フラット35」の融資金利を当初5年間0.25%引き下げる制度変更を行う、と発表した。

予備認定マンションが「フラット35S」の基準に適合する場合は、「フラット35S」利用時に適用される金利引き下げも併用」できる。併用する場合の金利引き下げ幅・期間についてはまだ決まっていない。来年4月以降に予備認定マンションを取得する場合に適用する。機構では「4月1日以降に竣工現場検査・適合証明書の申請を行うものから対象とする予定」だとしている。
予備認定マンションに該当する場合は、機構の「中古マンションらくらくフラット35」の登録有効期間を竣工後20年から30年に延長する措置も取る。国土交通省は2022年度予算概算要求で、管理計画認定を受けたマンションを取得する場合「フラット35」の融資金利を引き下げる優遇措置を設ける、としていた。この点は「詳細が決まり次第ご案内する」としている。
◇◇
管理計画認定マンションの「予備認定」については、9月28日に策定・公表された「マンションの管理の適正化の推進の推進を図るための基本方針」(基本方針)で新築マンションを対象とした「予備認定」に言及している。
基本方針の公表に合わせて国交省は公益財団法人マンション管理センターによる予備認定の仕組みを提示している。予備認定を受けた新築マンションの取得においては「フラット35の金利引き下げなどの措置を検討している」としていた。

(マンション管理新聞:令和3年12月15・25合併号の記事より)

2021年のマンションNEWS〜マンション管理新聞から〜

投稿日:2021年12月17日 作成者:右田 順久 (690 ヒット)

NEWS 1 コロナ禍続く混乱徐々に落ち着きも
 新型コロナウイルス感染者の急増で、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が1月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉の4件に発令された。13日には7府県が加わった。
昨年3月末時点の総合管理受託戸数上位20社における、今回の緊急事態宣言に伴う対応をヒアリング等で確認すると、管理業務は管理員・清掃業務を含めほぼすべての会社が行うとしていた。ただ、排水管清掃や消防設備点検など専有部への立ち入りが生じた業務は「管理組合の要望があれば、個別に対応する」とする会社が多かった。
今回の宣言では「出勤者の7割程度削減」を目指すとし、テレワーク等、また午後8時以降の外出自粛による勤務体制の抑制が要請された。
テレワークに関しては大手20社は、ほぼ全社が前回の宣以降継続して実施。要請を受け、出社率を3割に引き下げる対応をとる会社もあった。
関係団体の活動も大きな影響を受けたが、9月以降、新規感染者数の増加に歯止めがかかり、また宣言解除を受け、実参集するイベントを再開する動きも見られるなど、少しずつだが、落ち着き取り戻す局面も出てきた。

NEWS 2  改正適正化法 4月全面施行へ準備着々
 国土交通省は9月28日、改正マンション管理適正化法で国交相が定めると規定した「基本方針」を策定したと発表した。基本方針は国交省告示として発令され、マンション管理適正化指針に関する事項など7項目を提示。別紙では管理計画認定制度の認定基準や自治体による助言等の判断の目安も示された。
6月に公表した基本方針案で追加された新築を対象にした管理計画の「予備認定」についても記載された。
同日の発表資料では管理計画を認定したマンションを公益財団法人マンション管理センターの閲覧サイトで公表する方針を明らかにした。認定に関してはマンション管理士の「事前確認」を導入する考えも示した。
11月1日には管理計画の認定を申請する際の添付図書などを定めた改正法施工規則を公布、申請書では認定を受けた際の公表の可否を記入してもらうチェック欄を設けた。
自治体が管理計画認定制度に係る手続き事務を円滑に行えるよう11月30日に認定基準の確認方法・留意事項等をまとめた事務ガイドラインを策定した。来年度予算概算要求で認定マンションのインセンティブ(誘因策)として、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」などの金利引き下げを検討している。

NEWS 3  重説・総会・理事会・・・IT化一気に加速
 ITを活用した重要事項説明書等の交付を認めた改正マンション管理適正化法・同政令・同施行規則が3月1日、施行された。同日付で出された国土交通省の通達で従来対面が原則とされた重要事項説明・管理事務報告についても一定の条件を満たしていればITを活用した重説等を対面と同様に扱う解釈も示された。
一般社団法人マンション管理業協会(管理協)は同日付でITを活用した重説書交付・重説会説明等の方法などを示した国交省監修のガイドラインを策定・公表。コロナ禍も影響し、各方面でIT化が急速に進む契機となった。 管理協が7月12日に公表した「マンション管理トレンド調査2021」の結果概要では、前回急増した「ITを活用した理事会」開催を導入・検討する会員会社が前回の105者から167社とさらに増加した。 

NEWS 4  標準管理規約4年ぶりに改正
 国土交通省は6月22日、マンション標準管理規約を改正し公表した。改正は2017年以来4年振り。
ITを活用した総会・理事会開催や「置き配」を認める際の留意事項などデジタル化やコロナ禍を踏まえた条文・コメントを整備した。
デジタル化やコロナ禍対応以外では、専有部分の配管を共用部分の配管と一体的に改修する際、工事費に修繕積立金を拠出するときの留意点をコメントに記載した。
マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法の改正を踏まえ、総会決議事項に管理計画認定制度の認定申請・更新・変更や要除却認定の申請を追加した。また、団地型における敷地分割制度に関する規定を設けた。
4月14日から5月20日まで意見公募には、個人・団体計32から123件の意見が寄せられた。

NEWS 5  長期修繕契約・積立金ガイドライン初改訂
 国土交通省は9月28日、修繕積立金に関するガイドラインと長期修繕計画標準様式、作成ガイドライン・同コメントを改訂し公表した。改訂はいずれも策定以来初めて。
来年4月1日にスタートする管理計画認定制度における認定基準の一に位置付けることを目的にしたものだ。
修繕積立金に関するガイドラインは、対象に既存マンションの管理組合らを追加。平均額の目安が更新され「事例の3分の2が包含される幅」の下限値を上回っていることが認定基準となっている。
長計ガイドラインは既存25年以上・新築30年以上だった計画期間を認定基準同様「30年以上かつ大規模修繕工事が2日含まれる期間以上」に変更するなどの改訂が施された。

<マンション管理新聞(令和3年12月15・25号合併号)より抜粋>

『修繕積立金ガイドライン』初の改訂<国交省>〜20階以上の平均値は月額㎡当たり132円上昇。労務単価上昇・消費税引き上げも影響〜

投稿日:2021年11月15日 作成者:右田 順久 (838 ヒット)

国土交通省は、9月28日、『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』を改訂し公表した。これまでは新築購入者向けだったが、対象に既存マンションの管理組合らを追加し、修繕積立金平均額の算出方法を見直したほか、平均額の目安も更新した。改訂前206円だった「20階以上」の1平方メートル当たりの月額は338円に「値上げ」され、他区分も全て「値上げ」となった。この目安で示された「事例の3分の2が包含される幅」は「管理計画認定制度」の認定基準に使用される。ガイドラインは5年程度ごとに見直しを行う方針だ。
◇◇◇
ガイドラインの改訂は2011年4月の制定以来初。改訂前の数値も記載した、修繕積立金の平均額の目安を表に記載。(略。注:表の数値等は、『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の国交省HPの表を参照。)
機械式駐車場がある場合は平均額に加算するよう求めており、この加算額も表に記載している(表は略)。平均額の目安は、従来は「15階未満」だった階数設定を「20階未満」に変更。建築延べ面積も「1万平方メートル以上」を「1平方メートル万平方メートル以上2万平方メートル未満」「2万平方メートル以上に」に細分化し3区分から4区分に増やした。同省住宅局参事官付きは「サンプルが一定数集まられたので20階未満と20階以上に分ける形とした。区分は多少傾向の違いが見られたので分けた」と説明する。1平方メートル当たりの月額単価の目安。平均値は「5000平方メートル以上〜1万平方メートル未満」は30〜55円増。「20階以上」は70〜165円増えた。増加の理由について同参事官付は「この10年ほどで工事労務単価や消費財が上がっていることが影響している。」と説明した。機械式駐車場では「エレベータ方式(垂直循環方式」「その他」が追加され全6区分に。1台当たりの修繕工事費は従来の4区分は全て減少し「4段(ピット2段)昇降横行式」では改訂前(1万4165円)から7930円減と半分以上も減っていた。
◇◇
修繕積立金額の目安の算出に当たって収集・分析した長期修繕計画は、策定時(84事例)の約4.35倍に当たる366事例。従来は単棟型が対象だったが、団地型も加わった。建物形態の割合は単棟型89.6%、団地型10.4%。機械式駐車場は、同省参事官付きによれば366事例中117事例。「事例の3分の2が包含される幅」は、改正マンション管理適正化法の管理計画認定制度の認定基準に用いられる予定だ。
同省が今年3月の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」で提示した認定基準案では「単価の目安(事例の3分の2が包含される幅の下端の額」以上であることを確認)としていた。同参事官付きによれば、表の地上階数や建築延べ床面積に応じた金額(下限の235円・170円・200円・240円)を想定している。
ただ、3月の認定基準までは、目安を下回っても「専門家による理由を記載した書面により単価の適切性を判断することも可」とされている。

従来は「新築時から30年間」に必要な修繕工事費の総額を均等に積み立てる「均等積立方式」の場合を目安を示していたが。既存マンションが対象に加わったため、「計画期間全体」の期間で積み立てる場合の専有面積当たり月額単価を示した。既存のマンションの活用を想定しているため修繕積立金の算出式も変更している。また、修繕積立金の平均額の目安の算出例・比較方法の事例についてもを公表している。

(マンション管理新聞:令和3年10月5日付の記事より抜粋)

“改正適正化法”・“円滑化法”の施行日が2022年4月1日に決定〜9/27政令公布「特定要除却」は12月20日開始〜

投稿日:2021年10月01日 作成者:右田 順久 (1853 ヒット)

改正マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法の施行日を定める政令が9月21日、閣議決定された。
公布は27日、同法の施行日を2022年4月1日と決定した。建替え円滑化法のうち、要件を拡充した「特定要除却認定」に関する規定の施行日は今年12月20日に決まった。

改正法に規定された管理計画認定制度のスタートについて、国土交通省は「22年4月」としていたが、政令公布で同計画など改正法に定められた新制度・新規呈の施行期日が確定することとなった。
改正マンション管理適正化法の付則第1条は、一部を除き同法の施行日を「公布の日から2年を超えない範囲において政令で定める日」と規定。建替え円滑化法も同様で、法改正法で拡充された「特定要除却認定」と同認定に基づく敷地売却決議・手続きは「1年6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日」と付則で規定していた。

同日、マンション管理駅正化法・建替え円活化法施行令の一部改正も閣議決定した。公布は同様に9月27日。
適正化法は、改正法における「指定認定事務支援法人」に関する規定の整備で、同法人の指定方法、欠格事由、自治体のおける公示などを新設。円滑化法は敷地分割制度について、敷地分割組合における特別多数決事項など敷地分割事業の手続きを新設している。

(マンション管理新聞:令和3年9月25日付の記事より)

管理計画認定マンションに「インセンティブ」用意<国交省・概算要求>〜適正化・再生推進事業に2.7億円を計上、『リフォーム融資』金利優遇も〜

投稿日:2021年09月07日 作成者:右田 順久 (1265 ヒット)

国土交通省は8月26日、2022年度予算概算要求の概要を公表した。
マンション管理適正化・再生円滑化として例年通り、マンション管理適正化・再生推進事業、マンションストック長寿命化等モデル事業を推進する。
来年4月1日の改正マンション管理適正化法の全面施行に向け地方自治体による管理適正化の取り組みを支援するほか、管理計画認定制度の認定を受けたマンションに、住宅支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」、また住宅取得時の「フラット35」の融資金利を引き下げる優遇措置を設ける。住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば、金利引き下げは認定を受けたマンションに対するインセンティブ(誘因策)で、所轄部局となる住宅金融支援機構・住宅金融室は「詳細は今後整理していく」と話している。
マンション管理適正化・再生推進事業は2億7000万円を要求。21年度予算額(2億100万円)の1・34倍。管理の専門家による相談体制等の西部に対する支援を強化する。同参事官付は「どうやって管理計画認定の申請をしたらいいのか、管理計画認定とは何なのかといった疑問や相談に対応する体制を作っていきたい」と話している。

「マンションストック長寿命化等モデル事業」は21年度予算同額17億円を要求した。「耐用年数の半分を超えている」という現行の応募要件の撤廃を検討している。
市街地建築課では「防災上の観点で浸水対策や備蓄倉庫の設置などの取り組みに対応できるように幅広いマンションを対象に考えている」と説明する。同課によれば、優良建築物等整備事業で自治体を通じたバリアフリー改修や省エネ改修等の補助についても同様に築年要件の撤廃を検討している。
同事業の「マンション建て替えタイプ」では、改正マンション建替え円滑化法で拡充された要除却認定基準に適合するマンションへの支援を行う。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、住宅生産課によれば、350億円を要求した「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」な中での実施を想定している。同事業の中では、新たな事業として、外壁や窓の断熱といった省エネ改修の補助を検討している。補助率や要件は今後検討する。管理組合を対象にするかは「財務省との折衝次第だが今のところ排除することは考えていない」(同課)。

不動産産業課は「不動産管理業における適切な管理の推進」で3300万円を要求した。
21年度予算で計上したマンション管理業者等のコロナ禍の状況やIT活用等の実態調査を引き続き実施する意向だ。21年度の調査は9月か10月に開始する予定で全登録業者を対象とするかは未定。
(マンション管理新聞:令和3年9月5日付の記事より)

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