『2023 マンション関連10大ニュース』~コロナ渦乗り越え 新時代へ開く扉~

投稿日:2023年12月19日 作成者:右田 順久 (216 ヒット)

 

          2023 マンション関連10大ニュース(マンション管理新聞)
1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
4 国(国交省)が施策の方向を示す「大綱」を提示
5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
6 標準管理委託契約書5年振りに大幅改訂
7 マンションすまい・る債 23年で初の募集額超過
8 逗子・斜面崩落事故 遺族と住民側が和解
9 マンション管理士試験 合格率初の二桁に
10 管理計画認定マンション 350件超に

 

建物部分の固定資産税を減額する特別措置「マンション長寿命化促進税制」が創設された2023年。第三者管理者方式の課題がクローズアップされたほか、区分所有法改正に向け意見・要望が相次いだ。(以下、1~5大ニュースの詳細記事を抜粋し掲載。)

1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
 国土交通省は4月6日、「マンション長寿命化促進税制」の詳細を公表した。
減税要件となる「長寿命化工事」の内容が4月1日に施行された告示で規定され、工事の詳細も提示された。管理計画認定とは別に自治体の助言・指導を受けて長期修繕計画を見直すなどして長寿命化工事を行った場合の要件も具体化した。「長寿命化工事」は外壁塗装等や開放廊下バ・ルコニー・屋上・屋根・ひさしなどの防水を改修するもので、おおむね一般的な大規模修繕で実施する内容で、2023年4月1日~25年3月31日に完了させることを要件とした。対象は➀10戸以上②築20年以上を経過③過去に同様の長寿命化工事を実施―に該当する管理計画認定マンションと、自治体の助言・指導を受け長期修繕計画を作成・見直し、一定の基準に適合するようになったマンション。
管理計画認定マンションは修繕積立金を引き上げて認定を取得することが必要で、引き上げ時期は「21年9月以降」と示された。助言・指導を受けたマンションについては長計の計画期間30年以上かつ残存期間内に長寿命化工事などを2回以上含むことや一平方メートル当たりの修繕積立金の平均額も示した。

2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
 国土交通省は「外部専門家等の活用にあり方に関するワーキンググループ」を設置し10月26日、第1回会合を開いた。現行の『外部専門家の活用ガイドライン』を改正し、主に理事会非設置で管理業者が管理者に就任する場合の留意点を盛り込む。管理組合に不利益となり得る取引類型などについて検討する。早ければ年度内に改正する。
利益相反取引等については11月17日の第2回会合で、外部専門家の監事設置を必須とし契約金額が管理規約等に定める一定以上の場合、契約相手がグループ会社か同課にかかわらず個別契約について集会決議を必要とする案を提示。一定金額未満でもグループ会社であれば総会決議を必須とするが、非グループ会社であれば総会承認決議は不要とした。
10月30日には「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度の在り方に関するワーキンググループ」の初会合も開催。来年3月まで全6回開催する。管理計画認定制度については認定基準の在り方、さらなるインセンティブ(誘因策)等を中心に来年1月以降に議論する。標準管理規約は年度末をめどに改正する。
11月30日の第2回会合では管理情報の提供項目に修繕積立金の長期修繕計画上の予定額や積立方式などを開示する案を示した。

3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
 来年の区分所有法改正に向け、各種団体が法務省に意見書などを提出した。
NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)は4月11日に提出した要望書で「区分所有者の責務」規定について適正管理を努力義務ではなく「法的義務」とすることなどを求めた。弁護士らで構成する全国マンション問題研究会も同日付の意見書で同様の内容を要望した。大阪弁護士会は5月30日付で共用部分に係る損害賠償請求権に関する意見書を提出。区分所有者の変動があった場合でも管理者等による一元的行使の明確化を求め、区分所有権の譲渡に伴い損害賠償請求権も当然に継承される旨を低減した。日本弁護士連合会(日弁連)もおおむね同趣旨の意見書を同18日付で提出した。
一般社団法人日本マンション学会は8月28日付で意見書を提出。共用部分の変更決議では現行法を維持し「性能向上改修」を行う場合は、「3分の2」に緩和することなどを求めた。

4 国が施策の方向を示す「大綱」を提示
     国土交通省は8月10日、「今後のマンション政策在り方の在り方に関する検討会」の取りまとめを公表した。取りまとめは当面のマンション政策の検討・実施に当たっての基本的な認識とし、マンション政策全般に係る「大綱」として位置付けた。今後の施策の方向性では管理組合による適切な管理、役員の担い手不足、修繕積立金の安定的な確保、建て替え等の円滑化などで標準管理規約や各種ガイドライン等の整備を提示。
検討方針を明らかにした管理計画認定制度の認定基準・標準管理規約の見直し、管理業者が管理者となる場合を含めた外部専門家の活用のあり方に関してはワーキイングの設置を掲げた。

5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は、感染症法上2類相当だった新型コロナウイルス感染症の位置づけについて、5月8日から季節性インフルエンザ等と同様の5類に変更することを決定した。これに伴いコロナ禍前の形式が戻った。各種ガイドラインも廃され、対面での研修再開など、管理会社の業務にも変化が表れた。5類移行前の3月13日にはマスク着用基準が緩和。本誌が大手15社対象に行ったアンケートでは5社が社内対応についてはマスク着用を要しないと回答した。
公益財団法人マンション管理センターは5類に移行した5月8日、感染拡大を抑止する観点で休止していた事務所での「面談による相談」を再開した。書籍の対面販売も再開した。

 

(マンション管理新聞:令和5年12月15・25日合併号の記事より抜粋)


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