2024年版・総合管理受託戸数ランキング(マンション管理新聞) ~グループ上位15社で61.0%・管理費見直しの動き、沈静化せず~
マンション管理新聞社は、管理会社各社の2024年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2024年度版として発表する。部分管理や賃貸管理戸数は集計対象外。集計の管理会社は522社。
4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。【表1】をご参照。
「グループ別ランキング」は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。【表2】をご参照。
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総合管理受託戸数の上位15社の首位は、東急コミュニティーから日本ハウズイングに入れ替わった。日本ハウズイングの首位は3年ぶりとなる。
東急コミュニティーは前年からマイナス1万8271戸と大幅に減らした。管理委託費の「適正価格」への見直しの動きの結果で、特に合併した旧コミュニティワンの管理受託物件で顕著だったと思われる。
大手中心にここ数年、管理費見直しの動きが続いていた。人手不足に加え人件費や資材などの高騰、清掃や設備保守業務等の協力会社からの値上げ要請を受け、管理費の値上げや管理仕様の見直しを管理組合に申し入れた結果、受け入れられず、大きく管理受託戸数を減らす会社が相次いだ。この「管理費見直し」の沈静化も一部の大手に見られるが、ランキングを見てもまだまだ収まりそうもない。
住友不動産建物コミュニティサービスは20年に1万8000戸ほど受託戸数を減らしたが、おととしが1644戸、昨年が1634戸と2年連続で1500戸以上伸ばしていた。しかし、今回は416戸増にとどまった。親会社のここ数年の積極的なマンション供給(22年3109戸、23年2859戸)からすると既存のマンションからの解約が続いていると思われる。三菱地所コミュニティはここ3年受託戸数減が続いていたが、今回は2976戸増となった。
その他の上位15社で首位等の入れ替わり以外にも、野村不動産パートナーズが住友不動産建物サービスを抜いて9位、穴吹ハウジングサービスも日本総合住生活と入れ替わって11位になった。
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グループ別ランキングでは野村と住友の入れ替わり以外に変化はなかった。ただ、東急コミュニティーグループが2位になっているものの、グループ会社のマリモコミュニティの全株式を4月22日に大和ライフネクストに譲渡しており、来年のランキングでは3位にダウンする見通しだ。大和ハウスグループの40万戸の大台乗せが確実となった。
増加戸数ランキングでは、前回より1万戸以上増やしている会社は、2社あり。あなぶきハウジングサービスが積極局的なM&A戦略で1万4213戸増を果たしトップとなった。100%子会社の都市ビルサービスとの合併や日和サービスのマンション管理業務の事業譲渡等で管理戸数を伸ばした。なお、同社はメルコエステートサービスのマンション管理事業を吸収分割で承継しており、グループでの管理受託戸数も20万戸の大台乗せを果たした。(増加戸数管理会社のランキング表は省略)
合人社計画研究所は昨年の3514戸増から今回は1万416戸増と大幅に伸ばした。管理仕様を見直し支出を抑える「新合人社方式」と銘打って、同社を管理者とする第三者管理を積極的に打ち出したことが功を奏したと思われる。
国土交通省は管理業者が管理者に就任する場合の呼称を「管理業者管理者方式」と定め、監事選任や修繕委員会設置等のガイドラインを近く公表の予定(注:令和6年6月7日付で公表済。)が、管理会社にどう影響してくるかが注目される。
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総合管理受託戸数ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が15社。(ちなみに1万戸以上の受託戸数を有している管理会社は94社。)
分譲マンションのストックは昨年末時点で約702万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は55.3%、グループ別上位15社では61.0%となった。
ランキング順位で市場占有率を見ると。上位10社で46.1%、20社で60.3%、30社で67.1%、40社で71.5%、50社で74.9%、100社で84.7%となっている。
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「マンション管理適正評価制度」への登録マンションは4300件を超え、国の「管理計画認定制度」の認定マンションも780件を超えた。一部の調査で「管理水準の高い物件は価格が高い」とするデータも公表されており、「管理」への関心は高まっている。総合管理受託戸数ランキングの動向も注目される。
総合管理受託の管理会社の上位15社の顔ぶれ (2024年) 【表1】
順位 | 前年順位 | 管理会社 | 受託戸数 |
1位 | 2位 | 日本ハウズイング | 499,325戸 |
2位 | 1位 | 東急コミュニティー | 483,599戸 |
3位 | 3位 | 大京アステージ | 426,101戸 |
4位 | 4位 | 長谷工コミュニティ | 397,848戸 |
5位 | 5位 | 三菱地所コミュニティ | 330,876戸 |
6位 | 6位 | 大和ライフネクスト | 280,367戸 |
7位 | 7位 | 合人社計画研究所 | 243,638戸 |
8位 | 8位 | 三井不動産レジデンシャルサービス | 215,802戸 |
9位 | 10位 | 野村不動産パートナーズ | 178,587戸 |
10位 | 9位 | 住友不動産建物サービス | 176,888戸 |
11位 | 12位 | あなぶきハウジングサービス | 165,844戸 |
12位 | 11位 | 日本総合住生活 | 160,586戸 |
13位 | 13位 | 穴吹コミュニティ | 113,162戸 |
14位 | 14位 | 伊藤忠アーバンコミュニティ | 106,909戸 |
15位 | 15位 | グローバルコミュニティ | 105,244戸 |
管理会社グループ別ランキング(上位15社) (2024年) 【表2】
順位 | 管理会社グループ名(G:グループの意味) | 受託戸数 |
1位 | 大京G | 539,263戸 |
2位 | 東急コミュニティーG | 506,154戸 |
3位 | 日本ハウジングG | 500,358戸 |
4位 | 長谷工管理ホールディングス | 436,798戸 |
5位 | 大和ハウスG | 385,611戸 |
6位 | 三菱地所コミュニティ | 330,876戸 |
7位 | 合人社計画研究所G | 291,107戸 |
8位 | 三井不動産レジデンシャルサービスG | 279,601戸 |
9位 | あなぶきハウジングサービスG | 208793戸 |
10位 | 野村不動産パートナーズ | 178,587戸 |
11位 | 住友不動産建物サービス | 176,888戸 |
12位 | 日本総合住生活 | 160,586戸 |
13位 | 伊藤忠アーバンコミュニティ | 106,909戸 |
14位 | 日本管財G | 101,653戸 |
15位 | 東京建物アメニティサポート | 81,439戸 |
*マンション管理新聞:2024年(令和6年)5月25日付より抜粋