「役員に強い責務」・国交通省10/21標準管理規約改正案発表~11月19日まで意見募集 標準指針も改正へ~

投稿日:2015年10月29日 作成者:右田 順久 (1899 ヒット)

国土交通省マンション政策室は10月21日、マンション管理適正化指針・マンション標準管理規約の改正案をは発表し、パブリックコメントの募集を始めた。規約案ではコミュニティ条項を削除し、新たに管理組合業務に「居住環境の維持および向上」を設置。区分所有者以外も管理組合役員に就任できる外部専門家活用の導入、監事の大幅な権限強化、専有リフォームの承認制度の明確化等を提示している。パブコメは11月19日締め切り。同政策室によると年内の改正を目指している。

「マンションの新たな管理ルール検討会」(福井秀夫座長)が2012年1月に検討を開始して以来、3年9か月を経てようやく具体的改正案が公表された。管理組合役員に強い責務を求めているのが、最大の特徴だ。
最大の争点となった規約27条、32条の「コミュニティー条項」は削除の扱い。一方管理組合の業務を規定する32条12号に「居住環境の維持及び向上」を明記した。検討会で議論されていなかった表現だが「国交省の判断で入れた。住生活基本法や基本計画等の用語から引っ張ってきた」(佐藤将年マンション政策室長)という。夏祭り等イベントに取り組む管理組合に活動の解釈の余地を残したともみられ「各管理組合でご検討下さい」(同)と話している。
適正化指針の改正案では、管理組合によるコミュニティ形成の意義、外部専門家活用の際の監視・監督強化等を追加した。「発注等の適正化」項目では外部専門家の工事発注等に関するルール整備の必要性を記している。
規約改正案は、管理組合の定義をコメントで詳述。管理組合業務は建物、敷地、付属施設の管理を目的とし「それに付随しまたは付帯する事項」も目的の範囲内とした。
役員の規定には組合員要件を外す形で外部専門家の役員選任規定を併記し、管理組合の選択可能とした。理事・監事、理事長選任などの基本的パターンを図で示している。役員の利益相反取引防止の条文も設けた。監事の義務・権限は大幅に強化し、理事会出席義務、理事等の業務に対する報告請求権・調査権、不正行為覚知に基づく理事会招集権を規定した。理事長には理事会への定期的な報告義務を定め、災害時等における緊急的な保存行為を単独でできるとした。立ち入り権限では、事故等で緊急性のある場合、理事長は専有部分等に立ち入ることができ、コメントで、「大規模な水漏れ等」を例示している。
理事の代理出席はコメントで、規約に明文の規定がない場合「適当ではない」と指摘。代理人による議決権行使の代理人とは組合員の配偶者、一親等親族、他の組合員等と条文で明記。コメントで新築における眺望等を考慮した価値割合に基づく議決権も言及した。
専有部分のリフォーム規定では、理事長承認の対象要件に、「共用部分または他の専有部分に影響を与える恐れのあるもの」との文言を追加し、具体例を別表で一覧表示。窓ガラス等の改良工事は、管理組合による細則設定に基づく実施の規定を削除。組合による速やかな工事ができない場合、条文で理事長承認を経た個人施工をできるとした。
専有リフォーム等の承認は、迅速な審査に対応すべく理事会の書面・電子メール等の電磁的方法による決議を可能としている。駐車場使用はコメントで、公平な方法による定期的な入れ替えに言及。
新設の暴力団員排除条項は、専有部分の暴力団員への貸与禁止等を規定した。
その他、管理費等滞納者に対する各種措置をフローチャートで図式化、管理関係情報の開示等に関する参考例なども提示している。前回11年7月改正時、コメントに新設された、規約全般に対する「マンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい」との文言は変更していない。
(マンション管理新聞:平成27年10月25日付)


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