全ての管理組合が対象に<来年9月までに施行へ>~個人情報保護法改正・「適用除外」ルール撤廃~

投稿日:2016年09月15日 作成者:右田 順久 (2229 ヒット)

改正個人情報保護法の全面施行まで、およそあと1年。「個人情報取扱事業者」の要件から取り扱い量の規定が削除され、数に関係なく組合員名簿や居住者名簿、要援護者名簿などの個人情報を扱う管理組合は全て「個人情報取扱事業者」になる。同法所管の個人情報保護委員会は今秋以降、中小規模事業者向けのガイドライン案を公表し、安全管理措置の特例的な対応を例示する方針。管理組合等の対応方法についても、Q&A等の形式を含め示す考えだ。

【個人情報保護委員会 ガイドラインで対応提示へ】
昨年9月9日公布の同改正法で、個人情報の取り扱い量が少ない事業者を適用除外としていた規定(第2条3項5号)が廃止された。それに伴い、過去6カ月以内に5000人以下という人数要件を設けていた施行令改正の政令案が公表された。 法令は公布から2年以内、来年9月9日までに全面施行される。
「個人情報取扱事業者」とは、個人情報をデータべース化して事業活動に利用している者。法人や営利・非営利の区別はなく、データベースには名簿も含まれる。管理組合員、居住者、要援護者等の名簿を作成している管理組合、自治会・町内会・防災会等の団体も法の適用対象担になる形で、個人情報保護委員会は「管理組合や自治会も『個人情報取扱事業者』になる」と指摘する。これまで情報取り扱い量が5000人以下の場合は、「適用除外」の扱いを受けてきたが、このルールが廃されたため、管理組合は全て「個人情報取扱事業者」になる、というわけだ。
「個人情報取扱事業者」は、取得した個人情報をどんな目的で使用するのかできる限り特定し、正確かつ最新の内容に保つよう努めたり、データの漏えいや毀損の防止など安全管理について必要な措置を講じなければならない、といった義務を負う。違反行為に対する直接の罰則はないが、主務大臣の命令や勧告に従わない場合は6月以下の懲役や罰金刑に処せられることになっている。
管理組合等はどう対応すべきか。法の改正以前から同法の趣旨を踏まえ、公益財団法人マンションん管理センターは昨年1月、『マンション管理規組合で作成する名簿の取り扱いに関する細則について』を発行し、組合員・居住者・要援護者の各使用細則モデルを提示。取得する個人情報の利用目的や名簿の管理方法等を明示している。一般社団法人マンション管理業協会発行の『マンション管理業における個人情報保護ガイドライン』は主に管理会社向けに個人情報取得等に関する各種書式を掲載し、事業者の対応方法を示している。注意したいのは初めて事業者となる管理組合等にとっての安全管理措置。通常、組織的・人的・物理的・技術的と4つの安全管理措置が求められており、本格的に対応するとなると、相当な手間が予想される。
ただ、個人情報保護委員会はガイドライン案で小規模の事業者向けに特例的対応を示す方針だ。簡易な措置容認も有り得る。「委員会でも自治会等に配慮を求める意見はある。管理組合や自治会等の活動内容を踏まえ対応方法を検討しており、混乱が起きないよう、Q&Aでも示したい」  管理組合等が名簿の取り扱いに関し細則作成で対応する場合、どの程度まで規定を整えるべきか。同委員会は「ガイドライン等は秋から年内までには意見募集の形で公表する」と話している。
(マンション管理新聞:平成28年9月15日付)


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