基本方針・標準管理規約など、6月にも告示・改正へ、4月めどに意見募集<国交省>〜3月17日、検討会・最終会合で案提示、長計・積立金ガイドラインも改定の方針〜

投稿日:2021年04月01日 作成者:右田 順久 (1586 ヒット)

国土交通省の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(齋藤広子座長)の第5回会合が3月17日、ウェブ会議形式で開かれた。1月の会合で示されたマンション標準管理規約(単棟型)改正案の一部が修正されたほか、改正マンション管理適正化法で国交相に義務付けられた「基本方針」の案が示された。
基本方針は今回初めて全文が明らかになった。管理計画認定制度における認定基準案も一部を修正し提示された。同省マンション政策室によれば、4月をめどに意見募集(パブリックコメント)を実施し、6月ごろに基本方針の告示や改正した標準管理規約の公表を行う予定だ。

検討会の会合は今回が最後、当初は基本方針案、管理計画認定制度における認定基準案を検討する予定だったが、標準管理規約の改正も議題に加わった。標準管理規約改正案の議論は前回のみの予定だった。マンション政策室は「多数のご意見を踏まえ、結果の報告も兼ねて改めて議論した方がいいということで追加した」としている。      ◇
標準管理規約は、1月の第4回会合で示された案との比較で一部を修正。定義」に「ウェブ会議システム等」を新設するなどの加筆・修正があった。「置き配」については方針を改め「共用部分に物品を置くことは原則として認められない」とし例外的な措置として認める旨を示している。
前回は提示されなかった改正点も提示された。同規約上、書面で提出することになっていた一部書面について「電磁的方法」による提出を想定した条文を用意したほか、2017年の最高裁判決を念頭に置き、役職が付いた理事を理事会の過半数の決議で解任できるとする規定を新たに設けた。理事会では理事そのものの解任はできない旨、コメントで注記している。

管理計画認定制度の認定基準案では、第2回会合の素案で示した長期修繕計画の見直しを5年以内から「7年以内」に変更した。同室は、これまでの議論を踏まえ「実際に見直し作業をするとプラス1〜2年を要する」と説明した。長計の計画期間も25年以上を「30年以上」に変えた。「部材や工法など技術的に進んで修繕周期が長期化している」と変更理由を述べた。資金計画では、一時金徴収が予定されている場合を示していたが、「将来の一時的な修繕積立金の徴収予定がないこと」と変えた。

基本方針案の概要では、従来の管理適正化指針で提示されている「管理組合が留意すべき事項」について、第3回会合で示した管理規約違反の是正措置を、管理費等の滞納などの場合には「法的措置等を取ること」が重要と具体的にした。基本方針案に別紙で管理計画認定制度の認定基準案も記載しており、同室は意見募集の際も「包含されていると思う」と話す。
この日の検討会で同室は、ワーキンググループ(WG)の議論を踏まえ、「長期修繕計画作成ガイドライン」「修繕積立金に関するガイドライン」を改定する考えを明らかにした。
同室は、改定箇所は「今の段階ではまだ申し上げられない」としているが、長計ガイドラインは既存マンションの計画期間25年以上を認定基準と同様の30年以上にする予定だ。ただ、現行の5年程度ごとの見直しについては「(程度と)多少ブレがある表現をしていて認定基準と齟齬がないかと思うので今のところ変える予定はない」と話している。
標準管理規約改正案で示した専有部配管の一体的改修を行う際にあらかじめ長計に記載する点については「どう定めるのか示す必要はあるかと思っている」(同室)という。
現行の新築マンション購入向けの修繕積立金のガイドラインは「既存マンションも参照できるよう位置づけを変える予定」(同)。金額も「変える。ベースとなる単価と地域ごとの係数を掛けて自分のマンションと比べられるようなものを想定している」という。共に策定時に意見募集していないため今回も実施しない予定で早ければ6月ごろに改定したい意向だ。
(マンション管理新聞:令和3年3月25日付の記事より抜粋)


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