2021年版総合管理受託戸数ランキング(グループ別15社で61.3%、単独15社で54.3%)<マン管新聞>〜DX推進や「管理適正評価制度」への各社の取り組み状況がランキングに反映か〜

投稿日:2021年06月01日 作成者:右田 順久 (8672 ヒット)

マンション管理新聞社は、管理会社各社の2021年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2021年度版として発表【表1】する。同集計には部分管理や賃貸管理戸数を除いた。集計した管理会社は530社。4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり、事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。
「グループ別ランキング」【表2】は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。

グループ上位15社の顔触れに変化はないが、あなぶきハウジングサービス・グループが前回の12位から9位へランクアップした。建衛工業(本社北海道)とホームライフ管理(本社東京)の株式を取得したことで、17万5512戸に達している。
単独別の上位の顔ぶれと順位に変動はなかった。三井不動産レジデンシャルサービスが6815戸減少させたが、「部分管理」を見直した結果、としている。
上位15社は総じて前回から受託戸数の伸びを鈍化させている。その要因の一つが分譲マンションの供給の減少だ。不動産経済研究所発表の「全国マンション市場動向」によれば、18年の8万256戸に比べ19年は7万660戸と12.0%も減らした。特に首都圏は15.9%、近畿圏も13.9%も落ち込んだ。来年の管理受託戸数の伸びも期待できない。同研究所の発表によれば、20年は2年連続の減少で、全国で5万9907戸と前年比15.2%減の6万戸割れとなった。          ◇
受託戸数の伸びが鈍化したもう一つの大きな理由が「管理委託費見直し」の動きだ。あくまでも管理継続を前提としながら、昨今の人手不足や人件費高騰、協力会社などからの値上げ要求を受け、業務の効率化や経費の見直しなどの経営努力だけでは原価増化分を吸収できないとして、管理組合に「管理委託費の値上げ」「管理仕様の変更」等の要求を実施した結果の現れだ。
また、費用面以上に「管理組合の要求・注文が不合理」だとして「現状ではサービス品質が保てない」と管理会社の方から契約辞退を申し出る動きも見られた。
昨年の調査では住友不動産建物サービスが受託管理組合の「1割近く」に契約解除の申し入れを実施したことで、大幅に受託戸数を減らした。今年の調査でもこの動きが続いている状況が見れる。
三菱地所コミュニティも前年から1906戸減らしたのも「管理委託契約書や管理仕様の見直し」の動きの結果といえよう。親会社である三菱地所レジデンスのマンション供給状況(18年3614戸、19年3365戸を考慮すると、単純に5千戸強ほど、既存マンションの受託管理戸数を減らした形だ。
◇◇
総合管理受託ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が16社(昨年比1社増)、5万戸以上が25社(同2社増)、3万戸以上が36社(同1社増)、1万戸以上が87社(同2社増)となった。
分譲マンションのストックは昨年末時点で675万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は54.3%。グループ別上位15社では61.3%となった。
ランキング順位で市場占有率を見ると、上位10社で44.3%(昨年44.7%)、20社で59.7%(同60.2%)、30社で66.7%(67.1%)、40社で71.2%(71.7%)、50社で74.5%(74.8%)、100社で83.9%(同84.6%)となった。                                  ◇◇◇
管理会社各社は近年DX(デジタルトランスメ―ション)による管理サービス力を入れている。人手不足や居住者の高齢化対策などで推進されてきたDXだが、結果的に新型コロナウィルスの感染予防対策でその推進に拍車がかかった形となっている。
オンライン理事会やオンライン集会、電子投票をはじめ管理委託契約書や各種契約の電子化も始まった。こうしたITを活用した総会・理事会の「デジタル化」対応を踏まえた標準管理規約の改正も近い。
また、来年4月には一般社団法人マンション管理業協会による「マンション管理適正評価制度」(仮称)がスタートする。「マンションは管理を買う」時代の幕開けといえる。今後は、管理会社各社のDXや管理適正評価への取り組み状況が、総合管理受託戸数ランキングに大きく反映してきそうだ。

★ 管理会社上位15社の顔ぶれ (2021年版) 【表1】

順位 前年順位 管理会社 受託戸数
1位 1位 日本ハウズイング 469,898戸
2位 2位 大京アステージ 431,656戸
3位 3位 長谷工コミュニティ 373,760戸
4位 4位 東急コミュニティ 341,642戸
5位 5位 三菱地所コミュニティ 334,074戸
6位 6位 大和ライフネクスト 275,140戸
7位 7位 合人社計画研究所 223,043戸
8位 8位 三井不動産レジデンシャルサービス 202,606戸
9位 9位 住友不動産建物サービス 173,194戸
10位 10位 野村不動産パートナーズ 166,976戸
11位 11位 日本総合住生活  161,437戸
12位 12位 コミュニティワン 160,683戸
13位 13位 あなぶきハウジングサービス 131,347戸
14位 14位 穴吹コミュニティ  110,491戸
15位 15位 伊藤忠アーバンコミュニティ 106,243戸


★グループ別ランキング
(G:グループの意味)【表2】

1位 大京G                542,147戸
2位 東急コミュニティG          525,694戸
3位 日本ハウジングG           470,783戸
4位 長谷工管理ホールディングス      410,412戸
5位 大和ハウスG             376,168戸
6位 三菱地所コミュニティ         334,074戸
7位 三井不動産レジデンシャルサービスG  264,552戸
8位 合人社計画研究所G          252,479戸
9位 あなぶきハウジングサービスG     175,512戸
10位 住友不動産建物サービス       173,194戸
11位 野村不動産パートナーズ       166,976戸
12位 日本総合住生活           161,437戸
13位 伊藤忠アーバンコミュニティ     106,243戸
14位 日本管財G              98,136戸
15位 東京建物アメニティサポート      77,613戸

 

★増加戸数ランキング位 (上位15社)【参考】

1位 積水ハウスGMパートナーズ       11,016戸
2位 日本ハウズイング            10,347戸
3位 長谷工コミュニティ           6,967戸
4位 合人社計画研究所            5,968戸
5位 三井不動産レジデンシャルサービス    5,224戸
6位 レーベンコミュニティ          4,376戸
7位 あなぶきハウジングサービス       3,357戸
8位 関電コミュニティ            3,258戸
9位 野村不動産パートナーズ         2,850戸
10位 エスリード建物管理           2,807戸
11位 グローバルコミュニティ         2,515戸
12位 エンゼル                2,392戸
13位 近鉄住宅管理              2,219戸
14位 大和ライフネクスト           2,129戸
15位 JR西日本住宅サービス          2,095戸
※買収・合併・事業譲渡含む

*マンション管理新聞:2021年(令和3年)5月25日付より抜粋


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