役員をやらない外部居住の組合員に対し活動協力金を請求できるでしょうか?

投稿日:2014年05月26日 作成者:右田 順久 (5338 ヒット)
相談内容

私は今期の理事長(125戸、築30年)をしております。区分所有者もかなり入れ替わり、また賃貸化も増えており、いつも役員のなり手不足に頭を悩ませています。
今の管理規約では役員資格は、「現に居住する組合員のうちから」と規定されていますが、次の2点について教えて下さい。

①せめて不在組合員に対し、通常の管理費に加え「住民活動協力金」といった追加負担を請求し、管理費用に充当することを検討中ですが、問題はないですか。
②また請求することが可能な場合には、どの程度の金額までならよいでしょうか。

回答

①.基本的には、今の規約を変更すれば、「住民生活協力金」の請求をすることは可能ですが、以下の点に十分留意して行うことが必要です。

(1)管理費等の負担の原則として、その専有部分の持分の割合によりますので、その割合から大きく逸脱するものではないこと。

(2)請求の理由を明確にして、次の納得が得られるようにすることが必要。
即ち、1)組合員の義務である日常の組合活動、例えば建物の維持・保全や、生活上の協力関係に貢献できないこと 等の埋め合わせであること。2)特に役員となる・役員にならない場合を比較し、その負担は時間的にも精神的にも体力的にも相当の差異があるということ。3)現行規約の定めにより、非居住の組合員は役員になれないとされている場合は、本人の意思で役員になれない訳ではないことの認識も必要。4)懲罰的のものではなく、あくまで組合活動への貢献度の差の埋め合わせと考え、特に少数になると思われる対象者の意見を十分に斟酌すること。
*③について、標準管理規約(平成23年改定)では、不在組合員でも役員に就任して組合活動ができるよう“現に  居住しない組合員”も役員の対象を拡大した表現となっています。(リゾート用、投資用マンションなど管理不在の回避を想定)

②.金額については、マンションの規模、管理運営の状況、不在とする事由、またマンションにより個別性が強いので、組合員間での公平性を失くさないよう、無理なく合意できる金額を考えることが大切です。ちなみに最高裁の判例(平成22年1月26日判決)では、管理費の15%程度が一つの目安とされています。

補足コメント

費用負担の原則を十分に踏まえ、「住民生活協力金」を求める場合は、あくまで例外的な措置であることを認識しながら慎重に対応することが必要です。
近年の役員のなり手不足は、組合員の高齢化などによることもありますので、協力金だけではなく、資格要件の見直し、外部専門家を上手く活用するなど、お住まいのマンションの実状に応じて対応することも大切です。

注:ここにご紹介しております相談事例につきましては、秘密保持義務(マンション管理適正化法第42条)遵守の関係から当事務所に寄せられた直接的内容のものではございません。

 


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