標準管理規約改正へ5月にパブリックコメント~管理ルール検討会<国交省>報告書案を了承~

投稿日:2015年04月04日 作成者:右田 順久 (5011 ヒット)

国土交通省は3月27日、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫・政策研究大学院大学教授)を開き、報告書案が了承された。同省では、報告書案で示されたパブリックコメント素案に基づき、5月初旬前後をめどに意見公募手続きを行い、夏頃までにマンション標準管理規約改正を目指す。「新たな管理ルール」として踏み込んだ内容を示す一方、現行の運営方法も認め、管理組合にとって選択肢が広がる形となる。

検討会は今回で終了。報告書案は標準管理規約・コメントの改正対象となる14項目をピックアップし、問題認識や考え方を提示。パブリックコメント素案も盛り込んだ。管理組合を財産管理団体として強調し、管理者の責務を財産的価値の最大化追求としてとらえている点が特徴だ。
外部専門家活用では理事会存否も含め3パターンを提示。役員規定に新たに欠格要件を設け、会社法等を参考に理事長の理事会への定期報告義務、監事の理事会出席義務等も規定する考え。修繕など管理業務の受発注では、利益相反取引防止の観点から選定に関する「ガイドライン」策定を提案。外部専門家の派遣制度・保険加入の整備を指摘している。
理事会における議決権の代理行使では、配偶者等の代理出席を「望ましくない」と示しつつ、最高裁判決を踏まえ規約明文化による代理出席は可能としている。
総会の議決権割合では、超高層を想定に階数・方角等の価値を反映した価値割合議決権を選択肢に加える。
コミュニティに関する条項は削除する。
会計など管理に関する情報は、財務書類など適切な文書作成・保管に対する理事長の責任を明確化する。管理費等の滞納対策では、滞納発生の場合、管理組合による財産調査に対する同意規定の設置を盛り込む。各種措置はフローチャートで参考提示する。
駐車場の使用方法は公平さに配慮し、定期的な入れ替えなど各種方式を示す考え。
専用部リフォームでは理事会承認を必要とする範囲等を列挙。上下左右階の承認は「過度な運用」とし、窓改修等も理事会承認方式に改正する。保存行為は具体的に例示し、各組合員による単独判断実施の禁止を明文化する。
災害時における理事会決議による応急工事実施や、緊急時における重大な影響を与える恐れがある場合の専有部分等への立ち入りは認める。
会計年度開始時期から総会開始までの支出に関し、理事会承認と総会報告の手続きを明文化する。
当日、委員から「役員を資質・能力等に着目して選任するというが、実際は輪番制が一般的で、現実と乖離しているのでは」という指摘もあり、「新たな管理」がどの程度普及するかは未知数だ。
(マンション管理新聞:平成27年4月5日付)


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