3/14国交省「マンション標準管理規約」(5年ぶり5回目)~管理組合「ガバナンス」強化へ。適正化指針も~

投稿日:2016年03月18日 作成者:右田 順久 (2820 ヒット)

国土交通省が3月14日、マンション管理適正化指針とマンション標準管理規約・同コメントの一部を改正した。昨年10月に行ったパブリックコメントの改正案とおおむね内容は同じ。
規約改正では、区分所有者以外の外部専門家も管理組合役員になれる規定を選択肢として設置。コミュニティー形成は、指針で管理組合の積極的な取り組みを望ましいと位置付けた上で、管理費と管理組合業務の規約条文から「近隣にも配慮した居住者間のコミュニティ形成」、いわゆるコミュニティ条項を削除した。規約改正は2011年7月以来5回目。新たな組合運営に対応する大きな変更を含んでいるが、個々のマンションの規約改正は任意。団地型・複合用途型の標準管理規約についても同様の改正を順次行う。

規約改正は12年1月から15年3月まで計11回開いた「新たな管理ルール検討会」(福井秀夫座長)の検討を踏まえたもの。
改正のポイントの特徴は、役員の資格要件(規約第35条)で「組合員」の規定を削除した条文を設け、外部専門家を活用したい組合に選択肢を用意した点。1982年5月の標準管理規約の初策定以来、「役員=区分所有者」として理事会運営方式が定着してきたが、今後第三者の理事長、理事、監事への就任が可能となり、いわゆる管理者管理の選択もできるようになる。各種活用パターンは規約コメントに別添例示している。ただし選任方法は細則で定めるとし、資格要件も含め細部の例示は今後検討される。
管理費と管理組合業務の規約条文も改正した。削除案に関係団体から異論のあった「地域コミュニティー形成」に関する費用や業務の規定は、検討会の提言通り削除となった。一方、指針の前文で、マンションのコミュニティー形成を「重要なものであり、管理組合においても、区分所有法に則り、積極的に取り組むことが望ましい」と明記。規約コメントで管理組合のコミュニティ形成活動の留意点を述べている。
そのほか、監事の理事会出席を義務付け、役員の利益相反取引防止規定や暴力団排除条項を新設。災害時等の理事会の応急対応を明確化し、理事長等による専有部分の立ち入り権限を容認した。
パブコメの結果は意見総数760。意見提出者数団体含め125。主要項目に対する国交省の考え方が示されている。
一連の役員責任強化は「管理組合のガバナンス強化の観点」に立って規定。外部専門家の資格要件等は、今後具体例の提示を検討する。議決権の価値割合設定を認める規約コメント部分は「あくまで新築時に限った選択肢」と強調した。コミュニティ―活動は「国交省としては、防災・防犯、美化・清掃、緑化・景観形成、生活ルール調整など、居住環境の維持・向上に資するコミュニティー活動には、管理費から支出可能であると考えています」と述べている。規約等各種資料は国交省ホームページ・「マンション政策」サイトの「マンション管理について」に掲載している。
(マンション管理新聞平成28年3月15日付)


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