『修繕積立金ガイドライン』初の改訂<国交省>〜20階以上の平均値は月額㎡当たり132円上昇。労務単価上昇・消費税引き上げも影響〜

投稿日:2021年11月15日 作成者:右田 順久 (932 ヒット)

国土交通省は、9月28日、『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』を改訂し公表した。これまでは新築購入者向けだったが、対象に既存マンションの管理組合らを追加し、修繕積立金平均額の算出方法を見直したほか、平均額の目安も更新した。改訂前206円だった「20階以上」の1平方メートル当たりの月額は338円に「値上げ」され、他区分も全て「値上げ」となった。この目安で示された「事例の3分の2が包含される幅」は「管理計画認定制度」の認定基準に使用される。ガイドラインは5年程度ごとに見直しを行う方針だ。
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ガイドラインの改訂は2011年4月の制定以来初。改訂前の数値も記載した、修繕積立金の平均額の目安を表に記載。(略。注:表の数値等は、『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の国交省HPの表を参照。)
機械式駐車場がある場合は平均額に加算するよう求めており、この加算額も表に記載している(表は略)。平均額の目安は、従来は「15階未満」だった階数設定を「20階未満」に変更。建築延べ面積も「1万平方メートル以上」を「1平方メートル万平方メートル以上2万平方メートル未満」「2万平方メートル以上に」に細分化し3区分から4区分に増やした。同省住宅局参事官付きは「サンプルが一定数集まられたので20階未満と20階以上に分ける形とした。区分は多少傾向の違いが見られたので分けた」と説明する。1平方メートル当たりの月額単価の目安。平均値は「5000平方メートル以上〜1万平方メートル未満」は30〜55円増。「20階以上」は70〜165円増えた。増加の理由について同参事官付は「この10年ほどで工事労務単価や消費財が上がっていることが影響している。」と説明した。機械式駐車場では「エレベータ方式(垂直循環方式」「その他」が追加され全6区分に。1台当たりの修繕工事費は従来の4区分は全て減少し「4段(ピット2段)昇降横行式」では改訂前(1万4165円)から7930円減と半分以上も減っていた。
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修繕積立金額の目安の算出に当たって収集・分析した長期修繕計画は、策定時(84事例)の約4.35倍に当たる366事例。従来は単棟型が対象だったが、団地型も加わった。建物形態の割合は単棟型89.6%、団地型10.4%。機械式駐車場は、同省参事官付きによれば366事例中117事例。「事例の3分の2が包含される幅」は、改正マンション管理適正化法の管理計画認定制度の認定基準に用いられる予定だ。
同省が今年3月の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」で提示した認定基準案では「単価の目安(事例の3分の2が包含される幅の下端の額」以上であることを確認)としていた。同参事官付きによれば、表の地上階数や建築延べ床面積に応じた金額(下限の235円・170円・200円・240円)を想定している。
ただ、3月の認定基準までは、目安を下回っても「専門家による理由を記載した書面により単価の適切性を判断することも可」とされている。

従来は「新築時から30年間」に必要な修繕工事費の総額を均等に積み立てる「均等積立方式」の場合を目安を示していたが。既存マンションが対象に加わったため、「計画期間全体」の期間で積み立てる場合の専有面積当たり月額単価を示した。既存のマンションの活用を想定しているため修繕積立金の算出式も変更している。また、修繕積立金の平均額の目安の算出例・比較方法の事例についてもを公表している。

(マンション管理新聞:令和3年10月5日付の記事より抜粋)


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