『大規模物件で外部専門家活用拡大』~2023年度マンション総合調査の結果報告(その2)~

投稿日:2024年07月20日 作成者:右田 順久 (29 ヒット)

国土交通省が発表した2023年度のマンション総合調査結果について、マンション管理新聞では数回に分けて掲載している。今回は管理組合向け調査の「専門家の活用」から「外部専門家」をピックアップ。前回調査同様、「活用したことがない」が5割以上に達している。活用したことがある専門家は建築士が最多。2位は弁護士だった。

専門家の活用状況は下の表をご参照。トップは4回連続で建築士(15.6%)。前回比0.8%増のマンション管理士と同0.1%の管理業務主任者が共に13.8%で同率3位。報酬を得て管理計画認定申請手続きもできる行政書士(1.1%)が今回追加されたが、同0.2%減の公認会計士と同率最下位。
「活用したことがない」は同1.7%減の53.3%だが、総戸数規模別では全10区分中7区分で減少した。特に大規模物件で専門家の活用割合が高くなっている。
「301戸以上500戸以下」で「活用したことがない」は前回比9.5%減で29.8%。「500戸以上」は同比4.8%減の11.4%だった。
◇◇
 建物の形態別でも顕著で団地型は13.1%も減少して初めて3割を切り、単棟型との差は28.6%と過去最大を記録した。
選任理由のトップ3は同4.1%増の「大規模修繕等の実施」(47.4%)。同1.2%減の「」知識・ノウハウの不足」(32.7%)、「管理費の滞納等への法的措置」(30.5%)で前回同様。今回追加された「管理の適正化」が28.6%で4位。活用方法は「単発のコンサルティング業務」、「顧問契約」がそれぞれ4.0%、1.8%増で前回同様トップ2.
理事長・副理事長ら役員への就任は5%に満たないが、理事長以外の就任はいずれも前回比増。「監事への就任」は前回比で1.0%上昇した。

 

                                外部専門家の活用状況(重複回答)                          単位:%

専門家(資格者名) 2023年度 2018年度 2013年度 2008年度
弁護士 14.5 15.2 18.7 18.6
建築士 15.6 15.6 24,4 22.7
マンション管理士 13.3 13.0 16.4 13.1
公認会計士 1.1 1.3 1.7 1.8
税理士 4.3 4.0 2.6 1.8
司法書士 2.7 2.7 4.6 3.0
行政書士 1.1
管理業務主任者 13.8 13.9
その他 3.3 3.1 4.3 3.6
活用したことがない 53.3 55.0 45.4 49.7
不明 5.3 3.2 6.5 6.6

(マンション管理新聞:令和6年7月15日号の記事より抜粋)

2024年版・総合管理受託戸数ランキング(マンション管理新聞) ~グループ上位15社で61.0%・管理費見直しの動き、沈静化せず~

投稿日:2024年06月10日 作成者:右田 順久 (757 ヒット)

マンション管理新聞社は、管理会社各社の2024年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2024年度版として発表する。部分管理や賃貸管理戸数は集計対象外。集計の管理会社は522社。
4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。【表1】をご参照。
「グループ別ランキング」は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。【表2】をご参照。

総合管理受託戸数の上位15社の首位は、東急コミュニティーから日本ハウズイングに入れ替わった。日本ハウズイングの首位は3年ぶりとなる。
東急コミュニティーは前年からマイナス1万8271戸と大幅に減らした。管理委託費の「適正価格」への見直しの動きの結果で、特に合併した旧コミュニティワンの管理受託物件で顕著だったと思われる。
大手中心にここ数年、管理費見直しの動きが続いていた。人手不足に加え人件費や資材などの高騰、清掃や設備保守業務等の協力会社からの値上げ要請を受け、管理費の値上げや管理仕様の見直しを管理組合に申し入れた結果、受け入れられず、大きく管理受託戸数を減らす会社が相次いだ。この「管理費見直し」の沈静化も一部の大手に見られるが、ランキングを見てもまだまだ収まりそうもない。
住友不動産建物コミュニティサービスは20年に1万8000戸ほど受託戸数を減らしたが、おととしが1644戸、昨年が1634戸と2年連続で1500戸以上伸ばしていた。しかし、今回は416戸増にとどまった。親会社のここ数年の積極的なマンション供給(22年3109戸、23年2859戸)からすると既存のマンションからの解約が続いていると思われる。三菱地所コミュニティはここ3年受託戸数減が続いていたが、今回は2976戸増となった。
その他の上位15社で首位等の入れ替わり以外にも、野村不動産パートナーズが住友不動産建物サービスを抜いて9位、穴吹ハウジングサービスも日本総合住生活と入れ替わって11位になった。
◆◆
グループ別ランキングでは野村と住友の入れ替わり以外に変化はなかった。ただ、東急コミュニティーグループが2位になっているものの、グループ会社のマリモコミュニティの全株式を4月22日に大和ライフネクストに譲渡しており、来年のランキングでは3位にダウンする見通しだ。大和ハウスグループの40万戸の大台乗せが確実となった。
増加戸数ランキングでは、前回より1万戸以上増やしている会社は、2社あり。あなぶきハウジングサービスが積極局的なM&A戦略で1万4213戸増を果たしトップとなった。100%子会社の都市ビルサービスとの合併や日和サービスのマンション管理業務の事業譲渡等で管理戸数を伸ばした。なお、同社はメルコエステートサービスのマンション管理事業を吸収分割で承継しており、グループでの管理受託戸数も20万戸の大台乗せを果たした。(増加戸数管理会社のランキング表は省略)
合人社計画研究所は昨年の3514戸増から今回は1万416戸増と大幅に伸ばした。管理仕様を見直し支出を抑える「新合人社方式」と銘打って、同社を管理者とする第三者管理を積極的に打ち出したことが功を奏したと思われる。
国土交通省は管理業者が管理者に就任する場合の呼称を「管理業者管理者方式」と定め、監事選任や修繕委員会設置等のガイドラインを近く公表の予定(注:令和6年6月7日付で公表済。)が、管理会社にどう影響してくるかが注目される。
◆◆◆
総合管理受託戸数ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が15社。(ちなみに1万戸以上の受託戸数を有している管理会社は94社。)
分譲マンションのストックは昨年末時点で約702万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は55.3%、グループ別上位15社では61.0%となった。
ランキング順位で市場占有率を見ると。上位10社で46.1%、20社で60.3%、30社で67.1%、40社で71.5%、50社で74.9%、100社で84.7%となっている。
◆◆◆◆
「マンション管理適正評価制度」への登録マンションは4300件を超え、国の「管理計画認定制度」の認定マンションも780件を超えた。一部の調査で「管理水準の高い物件は価格が高い」とするデータも公表されており、「管理」への関心は高まっている。総合管理受託戸数ランキングの動向も注目される。

 

総合管理受託の管理会社の上位15社の顔ぶれ (2024年)   【表1】

順位 前年順位 管理会社 受託戸数
1位 2位 日本ハウズイング 499,325戸
2位 1位 東急コミュニティー 483,599戸
3位 3位 大京アステージ 426,101戸
4位 4位 長谷工コミュニティ 397,848戸
5位 5位 三菱地所コミュニティ 330,876戸
6位 6位 大和ライフネクスト 280,367戸
7位 7位 合人社計画研究所 243,638戸
8位 8位 三井不動産レジデンシャルサービス  215,802戸
9位 10位 野村不動産パートナーズ  178,587戸
10位 9位 住友不動産建物サービス  176,888戸
11位 12位 あなぶきハウジングサービス 165,844戸
12位 11位 日本総合住生活 160,586戸
13位 13位 穴吹コミュニティ 113,162戸
14位 14位 伊藤忠アーバンコミュニティ 106,909戸
15位 15位 グローバルコミュニティ 105,244戸

 

管理会社グループ別ランキング(上位15社) (2024年) 【表2】

順位 管理会社グループ名(G:グループの意味) 受託戸数
1位 大京G 539,263戸
2位 東急コミュニティーG 506,154戸
3位 日本ハウジングG 500,358戸
4位 長谷工管理ホールディングス 436,798戸
5位 大和ハウスG 385,611戸
6位 三菱地所コミュニティ 330,876戸
7位 合人社計画研究所G 291,107戸
8位 三井不動産レジデンシャルサービスG  279,601戸
9位 あなぶきハウジングサービスG  208793戸
10位 野村不動産パートナーズ  178,587戸
11位 住友不動産建物サービス 176,888戸
12位 日本総合住生活 160,586戸
13位 伊藤忠アーバンコミュニティ 106,909戸
14位 日本管財G 101,653戸
15位 東京建物アメニティサポート  81,439戸

*マンション管理新聞:2024年(令和6年)5月25日付より抜粋

 

『マンション化率全国平均13.01%に。東京都200万戸超える』(東京カンテイ)

投稿日:2024年02月22日 作成者:右田 順久 (378 ヒット)

東京カンテイ(本社:東京、長田千江美社長)は1月31日、全国の世帯数に占める分譲マンションストックの割合を示す「マンション化率」の調査を公表した。
2023年は前年から0.11ポイント拡大し13.01%。7.7世帯に1世帯がマンションに居住している計算だ。全国のストック戸数は761万455戸。前年同日比で9万8945戸増。前回は9万6351戸だった。
築30年超は、295万4050戸で、全体の38.8%に上った。前回比で1.5ポイント増。都道府県では東京都が72万3006戸で最も多い。
築30年超の占める割合が最も多かったのは和歌山県で61.9%。前回は2位だったが7.7ポイント拡大し、山梨県(61.6%)を抜き1位となった。以下新潟県59,5%、群馬県56.1%と続く。築30年超のストック戸数が全体の6割を超える自治体が出現したのは今回が初めて。23年の全国のマンション化率は13.01%。22年比で0.11ポイント拡大した。

都道府県別のマンション化率のトップは東京都で28.21%。同比0.11ポイント拡大。ストック戸数は200万5465戸。前回から2万7481戸増やし、2000万戸を超えた。全ストック戸数の4分の1強に及ぶ計算だ。築30年超は72万3806戸。同比2万540戸増で、全体の36.1%を占めた。
マンション化率の拡大の幅は大阪府が0.22ポイントでトップ。2位は前回1位の東京で0.21ポイント。京都府が0.19ポイントで続いた。4位は愛知県で0.18ポイント。
マンション化率の全国2位は神奈川県で23.09%。3位は大阪府で20.29%。4位は兵庫県(19.6%)。5位は福岡県(16.18%)。6位の千葉県との差は0.37ポイントから0.42ポイントに広がった。
前回比でマンション化率が縮小したのは、山梨・静岡・奈良の3県。山梨は2年連続。前回は4県で縮小していた。

 

(マンション管理新聞:令和6年2月15日付の記事「管理トピックス」より抜粋)

「長寿命化」に18億円計上(国交省24年度予算案)~子育て世帯3割以上等、要件満たせば最大50万円~

投稿日:2024年01月26日 作成者:右田 順久 (776 ヒット)

国土交通省は12月22日、2024年度予算の決定概要を公表した。
住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)では「マンションストック長寿命化等モデル事業」と「マンション管理適正化・再生推進事業」を継続する。
同参事官付けによれば予算案では「マンションストック長寿命化等モデル事業」は23年度比4億円増の18億円、「マンション管理適正化・再生推進事業」は同比3939万2000円減の1億6160万8000円を計上している。事業内容は2023年度と同様。
8月の予算概案要求の段階では「マンションストック長寿命化等モデル事業」の「管理適正化モデルタイプ」の事業見直しを考えているとしていたが今回見直しはなかった。事業とも公募開始時期については例年同様と想定している。
拡充予定だった「子育て支援型共同住宅支援事業」は、宅配ボックスの設置を補助対象に追加する。昨年11月29日に成立した補正予算で前倒しで拡充する。
同参事官によれば宅配ボックスの導入は18歳未満の子どもがいる「子育て世帯」の入居率が3割以上で、現行制度の子どもの転落防止措置に適合していることなどを要件にする。導入費☓子育て世帯の入居率☓補助率3分の1を補助する。上限50万円。 補正予算による同事業の募集開始は1月中旬か下旬を予定している。

国と自治体が補助する「エレべ―タ―の防災対策改修事業」に「リスタート運転機能」と「自動診断・仮復旧運転機能」を追加する。
参事官(建築企画担当)付によれば、地震時管制運転装置の設置など現行の補助対象5項目をすべて満たす場合に補助対象とする。補助上限額は1台当たり300万円。
住宅生産課は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を継続する。中身や補助率などは「大きく変えるつもりはない」という。「住宅エコリフォーム推進事業も実施するが「一部見直しの予定はあるが検討中。イメージも含めて未定」(同課)
22年度補正予算で創設した断熱改修等を補助する「こどもエコ住まい支援事業」は23年度補正予算で新設された「子育てエコホーム支援事業」が引き継いでいる。リフォームについては管理組合も引き続き補助対象になる。同課によれば、従前戸当たり30万円だった上限額を同20万円に減額するなどの変更を行っている。
安心居住事業課は「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」を継続する方針。

(マンション管理新聞:令和6年1月15日付記事より抜粋)

『2023 マンション関連10大ニュース』~コロナ渦乗り越え 新時代へ開く扉~

投稿日:2023年12月19日 作成者:右田 順久 (623 ヒット)

 

          2023 マンション関連10大ニュース(マンション管理新聞)
1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
4 国(国交省)が施策の方向を示す「大綱」を提示
5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
6 標準管理委託契約書5年振りに大幅改訂
7 マンションすまい・る債 23年で初の募集額超過
8 逗子・斜面崩落事故 遺族と住民側が和解
9 マンション管理士試験 合格率初の二桁に
10 管理計画認定マンション 350件超に

 

建物部分の固定資産税を減額する特別措置「マンション長寿命化促進税制」が創設された2023年。第三者管理者方式の課題がクローズアップされたほか、区分所有法改正に向け意見・要望が相次いだ。(以下、1~5大ニュースの詳細記事を抜粋し掲載。)

1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
 国土交通省は4月6日、「マンション長寿命化促進税制」の詳細を公表した。
減税要件となる「長寿命化工事」の内容が4月1日に施行された告示で規定され、工事の詳細も提示された。管理計画認定とは別に自治体の助言・指導を受けて長期修繕計画を見直すなどして長寿命化工事を行った場合の要件も具体化した。「長寿命化工事」は外壁塗装等や開放廊下バ・ルコニー・屋上・屋根・ひさしなどの防水を改修するもので、おおむね一般的な大規模修繕で実施する内容で、2023年4月1日~25年3月31日に完了させることを要件とした。対象は➀10戸以上②築20年以上を経過③過去に同様の長寿命化工事を実施―に該当する管理計画認定マンションと、自治体の助言・指導を受け長期修繕計画を作成・見直し、一定の基準に適合するようになったマンション。
管理計画認定マンションは修繕積立金を引き上げて認定を取得することが必要で、引き上げ時期は「21年9月以降」と示された。助言・指導を受けたマンションについては長計の計画期間30年以上かつ残存期間内に長寿命化工事などを2回以上含むことや一平方メートル当たりの修繕積立金の平均額も示した。

2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
 国土交通省は「外部専門家等の活用にあり方に関するワーキンググループ」を設置し10月26日、第1回会合を開いた。現行の『外部専門家の活用ガイドライン』を改正し、主に理事会非設置で管理業者が管理者に就任する場合の留意点を盛り込む。管理組合に不利益となり得る取引類型などについて検討する。早ければ年度内に改正する。
利益相反取引等については11月17日の第2回会合で、外部専門家の監事設置を必須とし契約金額が管理規約等に定める一定以上の場合、契約相手がグループ会社か同課にかかわらず個別契約について集会決議を必要とする案を提示。一定金額未満でもグループ会社であれば総会決議を必須とするが、非グループ会社であれば総会承認決議は不要とした。
10月30日には「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度の在り方に関するワーキンググループ」の初会合も開催。来年3月まで全6回開催する。管理計画認定制度については認定基準の在り方、さらなるインセンティブ(誘因策)等を中心に来年1月以降に議論する。標準管理規約は年度末をめどに改正する。
11月30日の第2回会合では管理情報の提供項目に修繕積立金の長期修繕計画上の予定額や積立方式などを開示する案を示した。

3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
 来年の区分所有法改正に向け、各種団体が法務省に意見書などを提出した。
NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)は4月11日に提出した要望書で「区分所有者の責務」規定について適正管理を努力義務ではなく「法的義務」とすることなどを求めた。弁護士らで構成する全国マンション問題研究会も同日付の意見書で同様の内容を要望した。大阪弁護士会は5月30日付で共用部分に係る損害賠償請求権に関する意見書を提出。区分所有者の変動があった場合でも管理者等による一元的行使の明確化を求め、区分所有権の譲渡に伴い損害賠償請求権も当然に継承される旨を低減した。日本弁護士連合会(日弁連)もおおむね同趣旨の意見書を同18日付で提出した。
一般社団法人日本マンション学会は8月28日付で意見書を提出。共用部分の変更決議では現行法を維持し「性能向上改修」を行う場合は、「3分の2」に緩和することなどを求めた。

4 国が施策の方向を示す「大綱」を提示
     国土交通省は8月10日、「今後のマンション政策在り方の在り方に関する検討会」の取りまとめを公表した。取りまとめは当面のマンション政策の検討・実施に当たっての基本的な認識とし、マンション政策全般に係る「大綱」として位置付けた。今後の施策の方向性では管理組合による適切な管理、役員の担い手不足、修繕積立金の安定的な確保、建て替え等の円滑化などで標準管理規約や各種ガイドライン等の整備を提示。
検討方針を明らかにした管理計画認定制度の認定基準・標準管理規約の見直し、管理業者が管理者となる場合を含めた外部専門家の活用のあり方に関してはワーキイングの設置を掲げた。

5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は、感染症法上2類相当だった新型コロナウイルス感染症の位置づけについて、5月8日から季節性インフルエンザ等と同様の5類に変更することを決定した。これに伴いコロナ禍前の形式が戻った。各種ガイドラインも廃され、対面での研修再開など、管理会社の業務にも変化が表れた。5類移行前の3月13日にはマスク着用基準が緩和。本誌が大手15社対象に行ったアンケートでは5社が社内対応についてはマスク着用を要しないと回答した。
公益財団法人マンション管理センターは5類に移行した5月8日、感染拡大を抑止する観点で休止していた事務所での「面談による相談」を再開した。書籍の対面販売も再開した。

 

(マンション管理新聞:令和5年12月15・25日合併号の記事より抜粋)

『12年ぶり実態調査実施へ(東京都24年度予算要求概要)』~適正化促進・23年度の2・1倍を要求~

投稿日:2023年12月14日 作成者:右田 順久 (699 ヒット)

東京都は11月8日、2024年度予算の要求概要を発表した。
住宅政策本部は「マンション政策費」として23年度予算から3100万円減の9億1400万円を計上。マンション適正管理・再生促進事業に6億900万円、マンション耐震改修促進事業に3億4000万円を充てた。適正管理・再生促進事業における「マンションの管理適正化の促進」は23年度要求額の2・1倍に当たる4億3900万円を要求している。新規事業ではマンション実態調査を行う。都マンション課によれば、調査は12年度以来12年振り。調査対象は全分譲・賃貸マンションで棟数や管理状況に加え、耐震・環境・防災に関するアンケートなどを想定している。調査結果は公表の予定。

今年10月に始めた防災力向上や認知症対応に取り組む管理組合にマンション管理士を派遣し支援する「マンション社会的機能向上支援事業」を継続する。「マンション管理不全予防・改善支援事業」として今年4月にマンション管理アドバイザー制度に新設した管理規約改正や長期修繕計画見直しなどを支援する新コースも続ける。
管理状況届け出制度で届け出内容から管理不全の兆候があるマンションを個別訪問する「適正管理啓発隊」、届け出を行ったマンションへの「アドバイザー派遣費助成」についても要求している。「マンション再生の促進」は同比600万円減の1800万円を計上した。「マンション改良利子補給」は同比100万円減の51000万円を要求。
今年5月に始めた省エネ・再エネ導入に係る検討計画書の作成費用を補助する「既存マンション省エネ・再エネ促進事業」は同比1億7100万円減現の3200万円を計上している。マンション耐震改修促進事業は同比1億6900万円減。「管理費」の「住宅政策に関する企画連絡調整」内に「災害時も生活継続しやすいマンションの普及促進」として4億5000万円を要求した。同課によれば今年6月に始めた「東京どどまるマンション」へ防災資機材の購入費用補助のほか、広く防災対策の支援を検討している。

 

(マンション管理新聞:令和5年12月5日付の記事より抜粋)

『マンションストック694万3000戸、築40年以上約126万戸(2022年末)<国土交通省>』

投稿日:2023年10月05日 作成者:右田 順久 (728 ヒット)

国土交通省は8月10日、2022年末現在の分譲マンションストック戸数を2021年末比9万3000戸増の約694万3000戸と発表した。増加戸数が10万戸を割り込んだのは2011年以来で11年振り。

居住人口は約1500万人。ストック戸数に、2020年の国勢調査による1世帯当たりの平均人員2.21を乗じて得た数値で、国民の1割強が居住している推計となる。
数値は3階建て以上の分譲共同住宅でRC・SRC・S造りをマンションとし建築着工統計等を基にして算出した推計値。1968年以前のストック戸数(5万3000戸)は国交省が把握する公団・公社住宅の戸数を基に推計した戸数を計上している。
◇◇
同日発表された2022年末現在の築40年以上のストック戸数は125万7000戸。10年前29万3000戸に比べて100万戸近く増え、10年後には現在の2倍以上に膨れ上がる見込みだ。前回までは、「築30年以上」「築50年以上」のストック数も集計していたが、今回から「築40年以上」に一本化し、推移をまとめる形に変更した。
変更について住宅局参事官付は、8月10日に取りまとめを公表した「『今後のマンションの政策のあり方に関する検討会』では『築40年以上』を『高経年』としている点を理由に挙げた。築30年・築50年以上のデータを個別集計することに大きな意義を感じていないとしている。
築40年以上のストックは前回調査から10万1000戸増加。ストック総戸数の18.1%となっている。築40年以上のストック数は10年後の2032年末には約60万8000戸に達する見通しだ。

(マンション管理新聞:令和5年9月25日付の記事「管理トピックス」より抜粋)

『分譲マンション管理会社のランキング<オリコン満足度調査>』~三井不動産レジデンシャルサービスが首都圏で3年連続1位、野村不動産パートナーズが東海・近畿で首位など~

投稿日:2023年09月09日 作成者:右田 順久 (727 ヒット)

Oricon ME(オリコンエムイー、本社・東京)は、9月1日、「顧客満足度ランキング」の分譲マンション管理会社部門を発表した。

首都圏では三井不動産レジデンシャルサービスが3年連続で総合1位を獲得した。2位は昨年同様、野村不動産パートナーズ、昨年6位の大成有楽不動産と同3位の東京建物アメニティサポートが同点で3位だった。調査は首都圏と近畿圏で今回7回目。東海は同5回目、九州は6回目。
ランキングは首都圏51社、東海37社、近畿44社、九州36社における「管理員」、「日常業務対応」、「管理会社担当者」など、5項目で評価。オリコン独自の計算で点数を出した。調査対象は過去7年以内に管理組合の役員経験があるマンション居住者等。回答者数は、首都圏1万385人、近畿5016人、東海1447人、九州1245人。
◇◇
 東海と近畿では、野村不動産パートナーズ画2冠を達成した。同社は東海では4年連続、近畿では初。九州では、昨年2位の住友不動産建物サービスが初の1位を獲得した。各地域の2位は、東海と近畿が三菱地所コミュニティ、九州は昨年1位の穴吹コミュニティ。
2020年から始めた、リプレイス経験がある管理組合の理事会経験者が対象のリプレイス部門では、首都圏では大和ライフネクストと長谷工コミュニティが同一で1位。大和ライフネクストは4年連続。長谷工コミュニティは初めての1位獲得となった。他地域では同部門の公表は行っていない。

 

◆首都圏(回答者:10,385人)         ◆近畿(回答者:5,016人)

順位 会社名 得点 順位 会社名 得点
三井不動産レジデンシャルサービス 72.7 野村不動産パートナーズ 70.9
野村不動産パートナーズ 72.0 三菱地所コミュニティ 70.7
大成有楽不動産 71.8 三井不動産レジデンシャルサービス 70.6
東京建物アメニティサポート 71.8 阪急阪神ハウジングサポート 70.3
三菱地所コミュニティ 71.6 浪速管理 70.2

★社名横の数値は得点。カッコ内は前回順位。(以下、リストも同様)

 

◆東海(回答者:1,447人)           ◆九州(回答者:1,245人)

順位 会社名 得点 順位 会社名 得点
野村不動産パートナーズ 70.8 住友不動産建物サービス 70.8
三菱地所コミュニティ 68.7 穴吹コミュニティ 70.1
日本ハウズイング 67.5 大京アステージ 69.7
大京アステージ 66.5 大和ライフンクスト 69.6
東急コミュニティ 66.1 穴吹ハウジングサービス 68.8

 

(マンション管理新聞:令和5年9月5日号の記事より掲載)

『大規模修繕工事業者ランキング(オリコン満足度調査)』~小野工建が総合1位2年連続、2位は建装工業~

投稿日:2023年08月11日 作成者:右田 順久 (602 ヒット)

大規模修繕工事専業、総合ランキング1位は2年連続の小野工建(本社・大阪)―。
Oricon ME(オリコンエムイー、本社・東京)が8月1日に公表した、マンション大規模修繕工事専門業者を対象に実施した顧客満足度調査で、こんな結果が出た。(下記の各リストをご参照。) 地域別では関東がヨコソー、近畿では大和技研が1位だった。調査は今回で3回目。新たに東海地方のランキングも作成した。

2位は昨年2位の建装工業(同・東京)、3位は昨年ランク外の富士防(同・神奈川)が入った。
得点は小野工建が76.4。建装工業75.9、富士防74.8。4位はカシワバラコーポレーション(同・山口)、5位は昨年4位の富士防だった。(表➀をご参照)
過去7年以内に大規模修繕工事経験があり、管理組合の理事、または、専門委員会委員として関わった全国の2745人にアンケート調査を実施。(詳細は末尾の「調査について」をご参照。)
➀施工会社の対応、②現場管理者の対応、③作業員の対応、④仕上がり、⑤保証・アフターサービス、⑥金額の納得感の6項目について尋ねた。
項目別では小野工建が6項目中5項目で1位。➀のみ建装工業が1位を獲得した。6項目中の最高得点は小野工建の「現場管理者の対応」で78.4。
戸数が100戸以上を「大規模」。100戸未満を「小規模」に区分した規模別、地域別のランキンも作成した。「大規模」は建装工業、「小規模」は小野工建がトップ。2・3位は「大規模」が富士防、「小規模」は高分子(同大阪)・建装工業。
地域別のランキングは表②のとおり。関東は1都6県、近畿は2府4県、東海は愛知・静岡・三重・岐阜の4県。それ例外の地域は規定の条件を満たしておらず非公表となっている。
関東の1位は昨年2位のヨコソー(同・神奈川)。2位は同5位のセラフ榎本(同・埼玉)、3位は同1位の建装工業。近畿の1位は同4位の大和技研(同・兵庫)、2位は同1位の建装工業、3位は同3位の小野工建だった。今回初の発表となった東海の1位は建装工業。
ヨコソーには「長期修繕計画を参照しアドバイスをしてくれたのが良かった」・「塗装が丁寧だった」、大和技研には「仕事が丁寧で作業員の方のマナーも良かった」・「適切、真面目、時間厳守が良かった」といった声が寄せられていた。

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【調査について―補足説明】
・現場管理者の対応、仕上がりなど、七つの項目に対して用意した「営業担当者の知識の豊富さ」
「現場管理者の説明の分かり易さ」など計24の設問を10点満点で評価し平均値を出した後、各項目の合計平均値を算出するなどして評価項目の特典を算出する。
・この得点に、満足度調査に対する評価項目の影響力を数値化した「重要度」を掛け合わせるなどして総合得点を計算する。総合得点は、継続的な評価のために最長で過去3年分のデータを集計して算出している。
・総合ランキング・評価項目別ランキングは50人以上、規模別・地域別ランキングは有効回答者数25人以上の回答があり、総合評点60点以上・「他社に薦められない」とした回答が一定割以下の企業を順位付けの対象にしている。ランキングの発表は最大10位まで。調査サンプルは2745人。21年4月、22年3月、23年2・3月、インターネットによるアンケートを実施した。
・国の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」登録団体に加盟しているマンション大規模修繕を実施している企業を「マンション大規模修繕会社」と定義した。
・一部設備工事に特化、また主に自社やグループ会社が管理するマンションの大規模修繕を実施する企業は対象外とした。調査企業数は60社。
 

➀総合ランキング(全国)       ②地域別ランキング(関東)

順位 前年 会社名 満足度 順位 前年 会社名 満足度
小野工建 76.4 ヨコソー 76.9
建装工業 75.9 セラフ榎本 76.6
富士防 74.8 建装工業 76.5
カシワバラコーポレーション 74.4 アール・エヌ・ゴトー 75.4
シンヨー 74.3 YKKAPラクシー 75.1
ヤマギシリフォーム工業 73.6 富士防 74.9
伊藤 74.5
10 カシワバラコーポレーション 74.5
三和建装 73.9
10 シンヨー 73.6

★社名横の数値は得点。カッコ内は前回順位。(以下、リストも同様)
 

②地域別ランキング(近畿)     ②地域別ランキング(東海)

順位 前年 会社名 満足度 順位 前年 会社名 満足度
大和技研 78,1 建装工業 74.1
建装工業 77.9 乃一 73.1
小野工建 76.9 マルコオ・ボーロ加工 72.7
高分子 76.5
カシワバラコーポレーション 75.4
東洋シポデック 74.9
ビケンテック 74.1
7ー 旭技研 72.6

(マンション管理新聞:令和5年8月5日号の記事より抜粋)

「認定数が100件を突破」<管理計画認定制度・閲覧サイト掲載物件>~平均築年数、23.7年。横浜が17で最多~

投稿日:2023年08月01日 作成者:右田 順久 (896 ヒット)

昨年4月にスタートしたマンション管理計画認定制度。公益財団法人マンション管理センターの専用閲覧サイトで公表される管理計画認定マンション数が7月14日付で100件に達した。
24日時点での掲載数は103件に上っている。制度開始から1年3か月での3桁到達となった。
認定マンションの6割は「マンション管理適正評価制度」の登録も行っていた。

認定数上位の自治体

順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 6位 6位
自治体名 横浜市 名古屋市 所沢市 神戸市 大阪市 浜松市 熊本市 京都市
件数 17 10 7 6 5 4 4 4

(令和5年7月24日現在)

 

管理計画の認定を行った自治体は町村部を含めると2件4区32市。
都道府県別に見ると最も認定数が多いのは神奈川県で24件。東京都17件。愛知県11件と続く。10件を超えているのは、この3都県のみ。認定マンションが存在している中で、数が最も少ないのは北海道、岩手・岡山・和歌山県の4道県で1件。
自治体別では、認定数の1位は横浜市で17件。2位は名古屋市で10件、3位は所沢市で7件だった。(上表を参照)
認定数が10を超えているのは横浜・名古屋市。認定数が1の自治体は18市あり、全体の半数近きに上る。
政令市は20市中16市で認定マンションが出ている。7月に制度を開始した千葉・広島市に加え、新潟・相模原市ではまだ認定マンションは出ていない。
東京都23区では板橋・台東・墨田・港区で認定マンションが誕生している。
竣工年別に見ると、1971年~80年が10件、81年~90年が23件。91年~2000年が21件、01~10年が20件、11~20年が28件、21年以降が1件。認定時、築40年以上のマンションは17件あり。認定時の築年の平均は23.7年だった。
認定マンションの中で最も古いのは横浜市の「竹山16-2住宅」、名古屋市の「大蔵ハウス」で1971年。
戸数規模で見ると、最も多いのは31~50戸で19件、76~100戸の18件、51戸~75戸が15件で続く。最も戸数が多かったのは、宝塚市の「中山五月台住宅団地」で790戸。最も戸数が少なかったのは八王子市の「ヴェルドミール大和田」で13戸。
一般社団法人マンション管理業協会の「マンション」管理適正評価制度」に登録しているのは103件中60件。全体の58.3%を占めた。評価は星五つが49件、星四つが11件。満点の100点を獲得したのは9件だった。

 

(マンション管理新聞:令和5年7月25日号の記事より抜粋)

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