“30万戸以上5社で3割弱、10万戸以上15社で5割超す”〜2020年版・総合管理受託数ランキング(マンション管理新聞)〜

投稿日:2020年06月01日 作成者:右田 順久 (3665 ヒット)

マンション管理新聞社は、管理会社各社の2020年3月末現在の総合管理受託戸数の調査を実施した。
その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2020年度版として発表する。同集計には部分管理や賃貸管理戸数を除いた。集計した管理会社は514社。4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり、事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。

「グループ別ランキング」(後掲のランキング2.を参照)は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。オリックスのグループ広報によれば、社内で現在、大京アステージと穴吹コミュニティを「大京ユニット」と表現しているが、弊紙の調査では「グループ」として集計した。                  
 グループ上位15社の顔触れは同じだが、野村不動産パートナーズと日本総合住生活が入れ替わり、それぞれ10位、11位となった。「会社別上位15社の顔ぶれ」(後掲のランキング1.を参照)に変化はなかったが、順位に変動があった。長谷工コミュニティが長谷工スマイルコミュニティ(前回26位、沖縄支店の管理事業を新会社。長谷工コミュニティ沖縄に分割継承)と総合ハウジングサービス(同28位)を吸収合併したことで、36万6793戸を数え、前回の5位から3位にランクアップした。
合人社計画研究所が昨年から1万2423戸増やしたことで、三井不動産レジデンシャルサービスを抜いて7位になった。野村不動産パートナーズは前回の12位から10位へランクアップした。
9位の住友不動産建物サービスは前回同様順位は9位だが、1万7574戸も減らした。昨年の人手不足、人件費高騰を受けて同社がサービスの品質を保てないとして「契約辞退」を申し入れた結果の表れだ。弊紙が昨年10月15日第1118号の「業界を覆う『建サ』ショック」で詳細を報じたが、親会社である住友不動産の積極的なマンション供給を考慮すると、「約1割に『辞退』を通知」と報じた弊紙の内容を裏付けた形だ。同社の決断は「これまで『どんな案件でも抱えていないといけない、管理組合の無理な要求にも応じないといけない』とする風潮があった管理業界に一石を投じた」との指摘も多く、実際、契約辞退を申し出た管理会社も少なくない。
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「コスト競争」から「IT化競争」へシフト必至
 弊紙が昨年8〜9月に管理会社30社を対象に実施したアンケート調査で、30社全てが「管理委託費の値上げの可能性を感じている」と回答。その約9割が実際に「値上げ提案を行っている」と答え、また、全体の7割以上に当たる22社が契約辞退などの措置を「取ることがある」と回答した(2019年10月25日付・第1119号参照)。最低賃金の上昇や働き方改革などでコスト増がその背景にある。また、「契約辞退」の申し出の理由では「採算が取れない」以上に、「管理組合の要求・注文が不合理」がトップを占めた。管理会社各社は業務の効率化、社内経費の見直しによる経営努力、そして管理業務の仕様変更の申し出などさまざまな努力を重ねたものの、「値上げ」提案が受け入れられず、結果的に受託管理戸数を減らした管理会社も少なくなかった。
新型コロナウイルス問題で社会のインフラ機能を支える管理会社の重要性が改めて確認された。その一方、人手不足、特に現場従業員の人手不足は深刻度を深めている。管理組合に対して、管理会社の経営環境の理解をどう深めていくかが、大きな課題だ。また、コロナ禍でIT化の必要性が急速に高まった。今後は電子投票による総会、ウェブ理事会、テレビ会議システムなどITを駆使した管理運営が急スピードで拡大しよう。単なるコスト競争から、こうしたIT競争が受託管理戸数ランキングに反映されてくると予想される。
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 総合管理受託戸数ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が15社、5万戸以上が23社、3万戸以上が35社、、1万戸以上が85社となった。なお、MMSマンションマネージメントサービス社が管理戸数を減少させているが、同社によれば「部分管理」を見直した結果、としている。
分譲マンションのストックは昨年末時点で664万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は54.7%で昨年から1.0%も増加した。グループ別上位15社ではでは61.2%と昨年と同じだった。
ランキング順位で市場占有率を見ると、上位10社で44.7%(昨年43.7%)、20社で60.2%(同59.2%)、30社で67.1%(同66.5%)、40社で71.7%(同71.4%)、50社で74.8%(同74.8%)、100社で84.6%(84.7%)となった。
増加戸数ランキングについては(同リストは割愛)、合併効果で9万戸以上増加させた長谷工コミュ二ティがトップ。住友不動産建物サービスをはじめとした管理会社による『管理委託契約辞退申し入れ』の動きに伴い、この1年はちょっとしたリプレイス活況時期でもあった。


1.【2020年版の管理会社上位15社の顔触れ】 ※( )内は総合管理の受託戸数
第1位:日本ハウズイング(459,551戸)、第2位:大京アステージ(429,576戸)、第3位:長谷工コミュニティ(366,793戸)、第4位:東急コミュニティ)(341,041戸)、第5位:三菱地所コミュニティ(335,980戸)、第6位:大和ライフネクスト(273,011戸)、第7位:合人社計画研究所(217,075戸)、第8位:三井不動産レジデンシャルサービス(209,421戸)、第9位:住友不動産建物サービス(173,147戸)、第10位:野村不動産パートナーズ(164,126戸)、第11位:日本総合住生活(161,162戸)、第12位:コミュニティワン(160,377戸)、第13位:あなぶきハウジングサービス(127,990戸)、第14位:穴吹コミュニティ(108,757戸)、第15位:伊藤忠アーバンコミュニティ(106,680戸)

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2.【2020年版グループ別ランキング】 ※G:グループ、( )内:グループの受託戸数
第1位:大京G(538,333戸)、第2位:東急コミュニティG(525,313戸)、第3位:日本ハウズイング  (460.454戸)、第4位:長谷工管理ホールディングス(403,275戸)、第5位:大和ハウスG371,524戸 )、第6位:三菱地所コミュニティ(335,980戸)、第7位:三井不動産レジデンシャルサービスG(277,985戸)、第8位;合人社計画研究所G(244,856戸)、第9位:住友不動産建物サービス(173,147戸)、第10位:野村不動産パートナーズ(164,126戸)、第11位:日本総合住生活(161,162戸)、第12位:あなぶきハウジングサービス(127,990戸)第13位:伊藤忠アーバンコミュニティ(106,680戸)、第14位:日本管財G(96,834戸)、第15位:東京建物アメニティサポート(76,387戸)
〜終わり〜
(マンション管理新聞:令和2年5月25日付より抜粋)

新築物件(2010〜19年)の管理費等の推移を調査<東京カンテイ>〜首都圏は10年で積立金2割増〜

投稿日:2020年05月19日 作成者:右田 順久 (1575 ヒット)

東京カンテイ(本社東京、長田千江美社長)は5月7日、2010年〜20年に発売された新築マンションのランニングコスト推移を調査・分析し、結果を公表した。首都圏では10年から19年の管理費は18.4%、修繕積立金は2割以上、それぞれ上昇している。

東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏で10〜19年に発売した新築物件の管理費・修繕積立金・修繕積立基金・駐車場使用料(表は省略)を示した。管理費・積立金・基金は1戸当たりの単価を基に専有面積70平方メートルに換算した数値を使っている。調査は近畿圏、中部圏、地方4市も対象に行っており、3大都市圏では階数・戸数規模別の集計も行っている。
首都圏では10年、月額1万6116円に設定されていた管理費は、19年には1万9085円と18.4%上昇。同様に修繕積立金は6410円から7826円と22.1%上昇している。
管理費と積立金を足した、月々のランニングコストは2万2526円から2万6911円と4385円上がった。
19年における1平方メートル当たりの月額は管理費272.6円、積立金111.8円という結果になった。
修繕積立基金は41万9913円が60万7811円と18万7898円、駐車場使用料は2万280円が2万3563円と3283円、それぞれアップしている。基金は44.7%と1.5倍近く上がったことになる。
管理費・修繕積立基金は15年以降4年連続で上昇している。管理費は19年、前年の1万7838円から7%も挙がった。新築物件の坪単価は12年以降上がり続けており、東京カンテイでは「新築価格と管理費・修繕積立金との相関性が確認でき、新築価格と連動して管理費・積立金が推移している」とコメントしている。
15年以降の管理費、16年以降の積立金の値上がりについては「大手不動産業者の供給システムが年々拡大し、相対的に維持管理コストがかかるハイグレードマンションの比率が高まったため」と分析した。
また、昨今問題になっているマンション管理業界・建築業界の人手不足による人件費、あるいは建築資材の高騰などによって、修繕工事費用など「建物の維持管理にかかる費用そのものが値上がりする状況にあることが深く影響しているものと考えられる」と推測している。
積立基金の上昇については「積立金の設定額が十分な金額に達していない」。このため「基金でカバーする動きが出ている」と分析した。業者の販売戦略として、融資返済額・管理費・修繕積立金といった「入居当初の月々支払い額を極力抑える工夫を凝らしているため、この影響が基金の大幅な上昇に影響した」との分析も加えた。
(マンション管理新聞:令和2年5月15日付)

未曽有の事態に直面<緊急事態宣言>〜マンション管理業も苦渋の選択:業務縮小・一部中止も〜

投稿日:2020年04月18日 作成者:右田 順久 (1982 ヒット)

新型コロナウィルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が4月7日、発令された。7都道府県が対象で期間は5月6日まで。宣言を受け、業務の縮小や一部中止・延期を決める管理会社が一定数に上っている。管理員や清掃といった現場の生命線ともいえる業務の縮小に踏み切るケースもあり、マンション管理業は未曽有の事態に直面した。緊急事態宣言発令を想定した対応については当初、現場業務の休止を打ち出したが、後に撤回するケースも。管理会社も混乱している。     ◇
4月8日午後4時すぎ。都内マンションの管理事務室に、業務委託する大手管理会社から1枚のFAXが届いた。「緊急事態宣言に伴う弊社管理業務のお願い」と題された文書には、宣言が解除されるまで「管理スタッフの配置ができない」、共用部分の各種工事・メンテナンスは延期する」などの対応が記されていた、ごみ出しについては収集日の搬出作業までを必要最低限のスタッフで行う、とされていた。突然の「宣言」に驚いた理事長は在宅勤務中のフロント社員に連絡。できるだけ管理員の勤務を続けてもらうよう求めた。結局、管理員は週明けの13日から時短勤務を実施することで決着がついたが、10日には管理会社側が翻意。管理・掃員共に従来通り勤務を続ける」と連絡があった。
当面の危機を乗り切った形だが、管理組合理事長は「ごみ出しだけは絶対にやってもらわないといけない。マンションが崩壊する」と口にした。
別のマンションでは10日、期間中における管理会社の正式な対応内容が掲示された。日常清掃は管理人が実施する場合を含め、ごみ出し・ごみ置き場の清掃などの一部業務だけを実施する、各種点検は一部延期・中止する旨の内容だった。管理組合理事長は「仕方ない」とあきらめ顔で語った。「コンシェルジュサービス休止。現場スタッフも時短をお願いしたい、と通告があった」と、都内大規模マンションの居住者。6月に予定する総会の日程も決まっていない。
「こんな事態だからこその管理会社。何のために管理委託費を支払っているのか」と、会社側の対応に困惑といら立ちを隠せない。

一連の業務縮小・一部中止は緊急事態宣言を受けた苦渋の選択だ。管理会社も関係会社を含めた社員の安全を守る責任があるが、「縮小・中止」に管理組合の理解が得られないケースがある。マンション管理業は開業始まって以来の緊急事態に陥った。
(マンション管理新聞:令和2年4月15日付)

新型コロナ感染拡大で総会開催「Q&A」<マンション管理センター>5月の総会シーズン控え〜理事会決議で『延期決定も』・「緊急事態」と位置付け〜

投稿日:2020年04月09日 作成者:右田 順久 (3410 ヒット)

総会延期措置、管理規約に規定がない場合は理事会決議で延期決定もー。公益社団法人マンション管理センターは3月27日、新型コロナウィルス感染拡大に伴い総会開催に関する問い合わせが多く寄せられているとし、総会開催時の留意事項や延期する場合の手順等を説明した「Q&A」をホームページで公表した。
5月の総会シーズンを見据えた対応で、延期については「災害発生時の場合等にはやむを得ず期間内に総会を開催できない場合もあり得る」と指摘。新型コロナウィルスの感染拡大も、こうした「緊急事態」に準じ総会の開催リスクや組合員の安全も勘案し「期間内の開催が可能か否かが検討されるべき」との解釈をした。

Q&Aでは①通常総会を開催する場合の留意事項、➁総会を開催しない場合の書面・電磁的決議、③総会開催の延期について、④理事決議による延期決定、➄延期する場合の手続き、⑥延期による区分所有法の解釈、⑦延期した場合の管理委託契約更新手続きーの7項目について解説している。
通常総会を開催する場合は、議決権行使書か委任状による議決権行使方法を推奨する方法が考えられる、としている。直接会場に足を運ばなくても総会を成立・議案を可決できるようにするわけだ。この場合、来場を抑えるため事前に書面による議決権行使を推奨しておく必要がある。Q&Aでは議案に対する意見を文書で表明できる旨知らせておく、などの留意事項も示している。②は総会を開かず書面・電磁的方法を述べた。総会の延期については、「新会計年度開始以後2ヶ月以内に招集しなければならない」と規定されるケースが多い管理組合に言及した上で災害発生時など「やむを得ず期間内の総会を開催できないこともあり得る」と想定。新型コロナウィルスの感染拡大についても、災害時同様、総会の開催リスクや組合員の安全等も勘案し期間内の開催が可能かどうか検討されるべきものだとした。
理事会決議による総会延期決定には「期間を超えて総会を延期せざるを得ないと判断する場合」には理事会決議で総会延期を決定することも考えられるとした。
マンション標準管理規約には総会延期についての規定が設けられていないが、「緊急時の対応」として、解釈した形だ。このため、管理規約に規定がないケースを想定した、総会を延期する場合の手続きも例示。理事会の決議事項として、延期決定のほか、①新役員が就任するまで現役員が職務を行う、②総会で次期収支予算が決まるまでは今期収支予算に従い予算執行をする、➂管理委託契約は従前と同一条件での暫定契約を結ぶーの3項目を示している。
総会の延期措置が区分所有法違反になるかどうかについては、法務省民事局がホームページで公表した見解を引用した。同見解では、新型コロナウィルス感染症の影響で前年の開催から1年以内に区分所有法上の「集会」が開催できなくなった場合の法解釈を示している。
区分所有法では管理者、管理組合法人の場合は理事が年に1回は集会を招集しなければならないと規定されている。事務の報告は「毎年一定の時期」に報告しなければならない、との規定もあるが、見解では「前年の開催から1年内に必ず集会の招集をし、集会において事務の報告をすることを求められているわけではない」。このため、前回の集会から1年以内に区分所有法上の集会が開催できない事態に陥った場合は「その状況が解消された後、本年中」、つまり今年中に集会を招集し、必要な報告をすれば足りる、と判断している。管理規約上の「総会」を招集する管理組合理事長は一般的に区分所有法上の管理者に就任する決まりになっているため、区分所有法上の「集会」は管理規約上の「総会」にあたる。総会延期は管理規約違反にはなってしまうが、今年中に「集会」を開けば区分所有法違反にはならないということだ。
管理委託契約の更新については、一般社団法人マンション管理業協会が2月27に公表した「マンション管理会社の感染症等流行時対応ガイドライン」で示した契約更新方法例を参考にした。「緊急時の対応として理事会で従前と同一条件での暫定契約を締結することについて決議する方法が考えられる」とした上で、理事会決議により契約を結ぶことについて管理会社との事前協議を行い、理解を得ることが大切だとしている。
※以上の詳細については、マンション管理センターのHP(以下のアドレス)をご参照下さい。 https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2020/03/20200327-CORONA-QA.pdf
(マンション管理新聞:令和2年4月5日付)

管理促進計画案で質疑<適正化法との整合性も検討>東京都議会〜3/16都市整備委員会・敷地売却「効果的な支援策も」〜

投稿日:2020年04月01日 作成者:右田 順久 (1469 ヒット)

東京都議会第1回定例会は3月16日、都市整備委員会が開かれ、4月に全面施行するマンション管理条例で知事が策定する決まりの「東京マンション管理・再生促進計画」(素案)などについて質疑があった。

森口つかさ都議(都ファースト)は、素案の届け出制度の強化などについて質問。マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法の改正法案を見据えた見解も尋ねた。
栗谷川哲雄・民間住宅施策推進担当部長は、4月から「分譲マンション総合相談窓口」の相談員を2人に増員し、月1回土・日曜の開設や毎週水曜日の開設時間の延長による体制強化を挙げた。
法改正については、「改正マンション管理適正化法に基づく計画との整合性の検討や、敷地売却制度等に係る効果的な支援策の検討、調査など改正法案の内容を踏まえ必要となる準備を進めていく」と答弁した。中村ひろし都議(立憲民主)は、成果指標で要届け出割合を2025年度末に80%とした理由や、耐震診断の実施率(おおむね100%」の把握・達成方法、空き家問題への対応などを質問した。栗谷川部長は、届け出制度を先行している豊島区が「制度施行5年間で7割程度であったことなどを参考に設定した」と述べた。 耐震診断の実施は届け出内容等で測定し、現行の派遣事業で働き掛けると答弁したが、中村都議は届け出の目標が80%なら「全体でも80%ではないか」などと指摘した。
空き家問題は、従来の相談対応のほか現行の『マンション管理ガイドライン』を3月に改定して作成する『マンション管理ガイドブック』で「相続されない場合の対応を記載するなどし、意識向上を図る」と答弁した。曽根はじめ都議(共産)は、素案の「まちづくりと連携した老朽化マンション等の再生」で、再開発等にマンションが巻き込まれ「区分所有者の権利を不当に侵害することがないよう歯止めが必要だ」と指摘した。管理状況の届け出等に関する事務の区市町村への委譲に伴う交付金などに触れ、昨年の台風19号による浸水被害など防災の問題や取り組みについて質問した。栗谷川部長は、地下の電気設備が浸水した問題を踏まえ、同ガイドブックで「風水害対策についての解説を掲載する予定」と述べた。
届け出事項の防災への取り組みでは、管理組合の了承を得た上で都のマンションポータルサイトに事例を掲載し「普及啓発を図る」と答えた。交付金は「対象事務を区市町村で処理した件数に応じて都から事務処理特例交付金として支払うことになっている」と答弁した。
奥澤高広都議(東京みらい)は「消費者の普及啓発」や「地域コミュニティーの形成」を増やすための取り組みなどを質問。栗谷川部長は、3月に『安心して住宅を売買するためのガイドブック(マンション編)』を改定し「管理や取引に関する知識向上に取り組む」と述べた。地域コミュニティーの形成は防災同様、同サイトへの事例の掲載などを挙げた。 菅野弘一都議(自民)は老朽マンション対策で都の「マンション再生まちづくり制度」の普及が重要だと指摘。栗谷川部長は「管理組合が決議等の手続きを円滑に進められるよう支援し再生を促進する」などと述べた。
(マンション管理新聞・令和2年3月25日付)

東京都『要届け出』約1万4000棟・スタートまで半月〜管理状況届け出制度〜

投稿日:2020年03月16日 作成者:右田 順久 (1336 ヒット)

東京都の「管理状況届け出制度が4月1日スタートする。都マンション課によれば、昨年3月に制定された条例で届け出が義務付けられたマンション(要届け出マンション)は約1万4000棟。

届け出方法は2通り。インターネットから都の「管理状況届け出システム」にログインし届け出事項を入力するか、マンションが所在する区市町村の担当窓口に届け出書を郵送・持参する。
届け出書は「マンションポータルサイト」からダウンロードできるが、都ではインターネットによる届け出を推奨している。
都では3月中旬にはシステムにログインするためのID・パスワード、届け出書、届け出先となる区市町村担当窓口などを記載したパンフレットを要届け出マンションに郵送する。
届け出期限は今年9月30日。届け出は5年毎に行う。内容に変更があった場合は都度届け出が必要だ。正当な理由がなく届け出を行わない場合は管理組合に指導・勧告が行われる場合がある。
同課によれば、郵送は棟単位で行っている。複数棟で構成される団地は、全体管理組合が「一括で届け出を行っても構わない」(同課)としている。届け出は「要届け出マンション」以外のマンションも任意で行える。この場合、ホームページからダウンロードした届け出に必要事項を記入し、地元の区市町村に持参・提出する。届け出が義務化されているのは1983年以前に新築された、住戸数6戸以上のマンション。
(マンション管理新聞・令和2年3月15日付)

重説会の延期などにも言及<マンション管理業協会>〜コロナ対応でガイドライン〜

投稿日:2020年03月10日 作成者:右田 順久 (2451 ヒット)

一般社団法人マンション管理業協会は2月27日、新型コロナウィルスの拡大に伴い、感染症対等拡大時の管理委託契約に基づく受託業務やマンション管理適正化法上の対応、考え方について示した「マンション管理会社の感染症等流行時対応ガイドライン」を策定・公表した。

2009年に策定した「新型インフルエンザ対策ガイドライン」を改定したもの。ガイドラインでは居住者の安全確保として「場合によっては集会などを延期、中止することもやむを得ないことをアドバイスする必要がある」と指摘。管理組合を対象にした、マンション管理適正化法の説明会開催についても「法令順守を優先するあまり居住者の安全を脅かす結果となることは管理会社の姿勢としてふさわしいものではない」とした。
ガイドラインによれば、管理委託契約の締結で「従前と異なる条件」の場合はまず、従前と同一条件による暫定契約を結び、事態鎮静後に重説会を開催し新たな契約を結ぶ。
重説会は「法令上必要な業務ではあるが居住者等の安全を確保するための緊急事態であること」などを管理組合に説明し、協議の上「管理組合からの申し出として延期することはやむを得ない」としている。暫定契約の締結、重説会延期についてのひな形も示した。
【注記】重説会とは、重要事項説明会のこと。(マンション管理適正化法第72条をご参照)
(マンション管理新聞・令和2年3月5日付)

新型コロナ対応は・感染者予防を徹底〜マンション管理新聞・大手14社にヒアリング〜

投稿日:2020年03月09日 作成者:右田 順久 (3858 ヒット)

新型コロナウィルスの国内での感染が拡大している。総合管理受託戸上位14社に社内での対策や管理物件での対応などを聞いた。

管理会社14社に社内や管理物件での対応、フロント社員ら現場スタッフが新型コロナウィルスに感染した場合の対処について聞いた。
現場スタッフが感染した場合は14社中10社が管理組合に感染を「報告する」または「報告する予定」だと回答した。社内対応としては「会社への報告」や「出勤停止」、「帰国者。接触者市横断センター」への案内等の回答のほか、行政や保健所の指示に従うとの対応も目立つ。
感染予防策はまず手洗いやうがいの徹底、マスク着用、アルコール消毒など、会議やイベントの自粛・延期や中止、時差出勤やテレワークの実施なども挙がった。
風邪の症状が見られる社員には三菱地所コミュニティが「会社を休み速やかに医療機関の受診」の上、同居家族に同様の症状があれば「原則自宅勤務」を命じるとしている。長谷工コミュニティは全スタッフに「出勤前の体調・対応んチェック」を義務付け。テレビ会議やSkypeの活用も推奨している。政府による全国小中高の臨時休校要請への対応が見られる。
野村不動産パートナーズは「特別有給を付与」し、伊藤忠アーバンコミュニティは「育児・介護特別休暇」の措置を取った。管理物件では、現場スタッフや協力会社の感染予防を徹底。特に専有部での作業に関してマスク着用や作業員の検温など実施中だ。総会や理事会等の延期や中止の相談等の対応も。東急コミュティー・コミュニティワンは現場スタッフの出社前検温で「37度5分以上の熱が出た場合は出勤停止」の措置。穴吹ハウジングサービスは体調不良の管理員に「即時業務を中止」させる。
(マンション管理新聞・令和2年3月5日付の記事より抜粋)

 

 

実態把握へ調査開始<総務省関東管区行政評価局>〜都内の自治体・管理組合対象・4月にも結果公表へ〜

投稿日:2020年02月08日 作成者:右田 順久 (1370 ヒット)

総務省関東管区行政評価局は1月22日、「マンションの適正な管理の推進等に関する調査」を開始する、と発表した。適切な修繕が行われていない高経年マンションが増加する恐れが生じているなどの背景から、マンションの適正な管理に向けた行政機関による支援策等の実施状況や管理の実状などの実態を把握するのが狙い。

調査結果は公表する。適正なマンション管理について区分所有者らの意識向上や行政の関与の強化・充実等に貢献し、一層の適正化を推進したい考えだ。調査対象にする行政機関は東京都と都内区市。管理状況等の届け出制度を設けている自治体が主な対象となる。届け出制度を設けていない自治体の参考になるような情報把握等も行う。
実状把握に関しては一般社団法人東京都マンション管理士会に業務を委託。管理組合に対する支援を行う中で発生していた問題などの事例を収集し、課題を整理した上で実状をまとめる予定だ。同局によれば、管理組合の許可が得られれば管理状況等の届け出制度に基づく支援等を受けたマンションを訪問し、実状をヒアリングする。3月まで調査を実施し、早ければ4月中に結果を発表する。
調査は、総務省の各管区行政評価局等が管轄する地域の住民生活に密着した行政上の問題を取り上げ調査を実施し、必要な改善を図る狙いを持つ「地域計画調査」として行われている。
(マンション管理新聞・令和2年2月5日付)

『適正化計画』都道府県等地方自治体へ策定を促進(国交省)〜適正化法 初の本格改正へ、2月下旬にも法案提出〜

投稿日:2020年01月28日 作成者:右田 順久 (1439 ヒット)

国土交通省はマンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法を改正する方針を決めた。1月20日に開会した通常国会に改正法案を提出する予定だ。
マンション管理適正化法の本格的な改正は、2000年の制定以降これが初めてとなる。2月下旬の提出を予定している。

マンション管理管理適正化法は、適切な維持管理の推進を図るため都道府県等地方自治体による、区域内マンションの立地状況等を踏まえた「マンション管理適正化計画」(仮称)の策定を促進する。建替え円滑化法は敷地売却ができる「要除却認定マンション」の対象を拡大するほか、団地の敷地分割を多数決で行えるようにする制度を創設する。
今回の法改正は社会資本整備審議会住宅宅地分科会・マンション政策小委員会が昨年12月に作成した、取りまとめ案に沿った内容だ。案は公表され、12月27日意見公募手続き(パブリックコメント)を開始。1月26日まで意見を募集している。取りまとめ案ではマンション管理適正化の推進策として「行政の役割の強化」を提示している。 地方自治体には「区域内のマンションの立地状況等を踏まえ、計画的にマンション管理適正化に関する施策を講じていくことが必要だ」などと言及。
国に対しては「地方自治体による能動的な関与を円滑化するために必要な措置を講じるべきだ」としている。
「要除却認定マンション」については、現行の要件である「耐震性不足」だけではなく老朽化、「特に外壁剥落等により居住者、近隣住民等の生命・身体に危険が生じる恐れがあるマンション」も対象とすることが重要だ、と指摘した。

適正化法については契約書面の電子化といった、マンション管理業関係の可能性も見込まれる。1月中にも一般社団法人マンション管理業協会が昨年実施したIT化・電子化の社会実験結果について、第三者で構成する検証検討会が国交省に報告書を提出する見通しだ。
今国会での法改正について同省・不動産業課は「現時点である、ないということは言えない」と話したが、報告書の提出を受け、改正法案に「書面交付原則の変更等」が盛り込まれる可能性がある。
(マンション管理新聞・令和2年1月25日付)

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