「管理組合主体」を明確化<総務省研究会>~コミュニティー活動を地域パートナーに位置付け(財産管理にとどまらず活動を)~

投稿日:2015年02月27日 作成者:右田 順久 (2204 ヒット)

総務省は2月16日、第4回「都市部におけるコミュニティの発展方策に関する研究会」を開き、報告書構成案を示した。
今後の方向性として管理組合をコミュニティー活動の主体として明確化する考えを示した。区分所有法を根拠とする管理組合に、総務省があえてコミュニティ活動の主体としてお墨付きを与える形。区分所有者と世帯主(居住者)が一致しないマンションにおける課題言及はなかった。次回の3月24日の会合で報告書をまとめる。

方向性案では、管理組合をコミュニティ―活動の主体として明確にし、「行政が協働する地域のパートナーとして、自治会等に加えて管理組合を位置付ける」。その発展形に自治体による管理組合への活動支援、マンション同士の情報交換の場の創出を挙げている。
これまで管理組合の支援活動は建物の維持管理等の観点から国土交通省や自治体の建築部局等が行っているが、自治体のコミュニティ―担当部局を含む「自治体による部局横断的なマンション支援体制の構築」を提言している。
防災面のマンションと地域の連携は有効とし、まちづくり協議会などマンションを含めた地域の組織設立推進も示した。主な議論では「管理組合の本来の役割は財産管理であるが、それにとどまらず住民同士の横のつながりを作る活動をすることが望ましい」との価値観を提示している。
研究会では自治会・町内会の加入率低下、役員の担い手不足等を背景に都市部のコミュニティーの新たな担い手として管理組合に注目。任意団体ではない管理組合の人的資源や頑丈な建物に期待を寄せるが、管理組合も高齢化や外部区分所有者の増加など担い手不足の課題を抱えている。

コミュニティー問題は活動費や管理組合業務との関係をめぐり国土交通省でも議論。標準管理規約のコミュニティ―条項削除を検討するなど、総務省の方向性とは一致していない。管理組合の活動を決めるのは誰か。議論を呼びそうだ。
(マンション管理新聞:2015年2月25日付)

名簿作成のポイントを提示(細則モデルを整備)~居住者・要援護者も<マンション管理センター>~

投稿日:2015年02月06日 作成者:右田 順久 (4948 ヒット)

公益財団法人マンション管理センターは1月26日、『マンション管理組合で作成する名簿の取り扱いに関する細則について』を発売した。
管理組合が作成する名簿の種類と作成にあたっての留意点、取扱いルールなどをまとめ、細則モデルを示した。
同書は管理組合が作成する名簿として、主に総会の招集や管理費等の請求などに利用する「区分所有者名簿」、建物の利用方法等で区分所有者と同一の義務を負う占有者の情報を得たりするために必要な「居住者名簿」、災害時の救助活動などに利用する「要援護者名簿」を想定した。
区分所有法やマンション標準管理規約、マンション使用細則モデル、マンション標準管理指針といった関連法令・ルールから名簿の作成根拠を提示。名簿を作成する上での留意点をまとめた上で、第三者への提供や作成の方針、安全性と利便性、公開性等に言及した「策定方針」と併せ、各名簿の取り扱いに関するモデル・コメントを提示している。
細則モデルは、「区分所有者」「居住者」「要援護者」の各名簿に応じ、それぞれ用意した。作成根拠になる管理規約の条文や利用の目的、名簿の掲載事項等に、それぞれ違いがあるからだ。
添付資料とし、マンション使用細則モデルや個人情報保護法、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針の抜粋も収録している。
(マンション管理新聞:平成27年2月5日付)

建替型総合設計制度を新設~改正円滑化法施行控え「基本方針」を改正・告示<国交省>~

投稿日:2014年12月19日 作成者:右田 順久 (2812 ヒット)

12月24日のマンション建替え等円滑化法施行を控え、国土交通省は「基本方針」、省令、容積率緩和特例に関する許可準則を公表している。
基本方針と省令はパブリックコメント募集時と概ね同じ内容。許可準則は「マンション建替型総合設計制度」を新設し、容積率割り増しの基準を示している。
基本方針は12月10日付けで告示。同日付の官報に掲載されている。9月4日にパブコメで示した案と内容はほぼ同じだが、容積率特例許可を行う際の地方公共団体に対する努力規定に「地域の事情を考慮しつつ」の文言が加わった(第6の3のハ)。管理組合には買い受け人選定の際、選定手続きの「透明かつ公正」な実施が求められている。
省令は11月28日付官報に掲載されている。8月27日のパブコメ案と比べ、若干順序の変更等はあるが、内容に大きな変更はない。書式では、特定行政庁から都道府県知事への除却認定通知書が追加された。特定行政庁等による認定や敷地売却事業に関する手続きの規定が大半を占める。

法105条の容積率緩和特例に関する運用については12月5日、市街地建築課長名で各都道府県に通知した。
内容はマンション再生協議会のサイトで公表している。総合設計許可準則を改正し、「マンション建替型総合設計」を新設。地域の防災、環境等向上に資するものとして、「地域で活用できる防災備蓄倉庫設置、防災広場、地域に開放されたコミュニティ形成のための集会所、地域の子育て施設、高齢者向け福祉施設、地域の状況に応じた特定行政庁が定める取組み等」を挙げ、施設等の確保が必要と認められる場合、整備に応じた容積率割り増しが可能となる。公開空地設置は必要条件ではないが、高さ制限、斜線制限緩和の適用はない。容積率割り増しの程度は技術基準で提示した。非住宅部分の床面積が過大とならないよう許可方針も定めた。
「最終的な緩和の程度は自治体の裁量次第」(マンション政策室)と話している。
(マンション管理新聞・平成26年12月15・25日付)

14年度「すまい・る債」応募率57.5%~9年振り5割超える<住宅金融支援機構>~

投稿日:2014年11月16日 作成者:右田 順久 (1758 ヒット)

住宅金融支援機構は11月5日、2014年度の「マンションすまい・る債」の募集結果を発表した。
10万口・500億円の募集枠に対し、応募口数は5万7520口。13年度比124.7%で、応募率は57.5%と、13年度比で11.4ポイントアップした。
応募率が5割を上回ったのは、ペイオフ解禁された05年度以来。ペイオフ解禁時を除くと、00年度の制度創設以降、今回が最も応募率が高い。応募組合数は1607組合。13年度比で106.4%と、組合数も増加している。
(マンション管理新聞・平成26年11月15日付記事から抜粋)

適正管理は社会責任~住宅政策審議会会合・行政支援も打ち出す<東京都>~

投稿日:2014年10月27日 作成者:右田 順久 (1909 ヒット)

東京都は10月6日、住宅政策審議会マンション部会の第3回会合を開いた。会合は非公開。
15日公表の資料によると、都はマンション管理適正化施策基本的考え方として、良好な管理など「管理組合の努力が報われる市場の形成」が必要と指摘。「マンションは高い社会性を有している」とし、管理組合の適正化管理への努力や管理情報開示を「社会に対する義務や責任」と位置づけ、行政による管理組合の取り組み支援は必要、としている。
区市町村との連携では、都が施策推進の基本方針を定め、区市町村による管理組合への支援・指導を支援するとの考えを示した。
第2回会合の議事録では、市場の活用を求める意見に対し、「実際は煩雑な売買はなく、マンション管理は静かで別の話」と、市場活用の実効性に否定的な意見も示された。都に条例化を求める意見も紹介されている。(マンション管理新聞・平成26年10月25日付)

消費者庁報告書の要望反映~機械式駐車場ガイドライン改定<国交省>~

投稿日:2014年10月18日 作成者:右田 順久 (2098 ヒット)

国土交通省は10月6日、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を改定した。
既設の装置について、製造者や管理者等を交えた「協議の場の設置」等の取り組みを示している。3月28日に策定したガイドラインに新たに「関係主体間の連携・協働による取組み」の章を設け、3項目を追加した。

1つは既設の既設の機械式駐車装置を対象に、駐車場施設ごとに協議の場を設け、製造者、保守点検事業者、設置者、管理者、利用者が連携して安全対策(施設改修、安全利用の推進、利用者への教育訓練等)に取り組むこと。
2つ目は協議の場で製造者、保守点検事業者は安全な利用方法など必要な情報・知見の提供を行い、設置者、管理者は製造者、保守点検事業者の主体的な参画の下、利用者に教育訓練を字資すること。
3つ目は利用者の適正な利用の心掛け。改定した都市局街路交通施設課によると、「イメージとしては管理組合の理事会や総会のような場にメーカーやメンテナンス業者が出向き、安全対策の説明を行うこと。

立体駐車場工業会では事故事例の関する動画も用意してある」と話す。ガイドラインは管理者等が安全対策に取り組む際の手引き。今回の改定は消費者庁の消費者安全調査委員会が、7月に発表した報告書で国交相と消費者庁長官に求めた意見を盛り込んだ形。2007年6月から2014年7月11日までマンションの機械式駐車装置で13件の事故が起き、7人が死亡、うち3人は子ども。
(マンション管理新聞平成26年10月15日付)

『「再生事業法」創設を』~国交省・9/10団地再生検討会「課題も多い」~

投稿日:2014年09月16日 作成者:右田 順久 (2339 ヒット)

国土交通省は9月10日、第2回住宅団地の再生の在り方に関する検討会を開いた。3人の有識者が提案説明を行い、早くも団地再生事業法の創設が提案された。次回10月は別の有識者が説明を行う予定だ。

前UR都市機構理事の大西誠委員は郊外型大規模団地の再生課題について、需要以上の保留発生、建築基準法86条の「一団地認定」解除に伴う全員合意、公正な容積設定方法などを説明。その上で、長谷川洋国土技術政策総合研究所住宅性能研究官が以前から提唱している団地再生事業法について触れ、多様な要望を実現できるとして同法の創設が必要と提案した。
宮原義昭委員は団地再生への市街地再開発事業応用の可能性と課題を説明し、土地の高度利用を前提とする市街地再開発事業と郊外団地の立地の違いに触れ、「物理的な高度利用ではない概念」の導入の必要性を指摘した。
外部識者では自力建替えを行った旧町田山崎団地の西木實コンサルタントが経緯などを報告した。大西氏の提案した団地再生事業法はアイデアの紹介にとどまり、同じ敷地に建替え・改修・現状維持が共存するイメージが示された。
質疑では「事業法の創設はいいとしても、そもそも団地が判断できる仕組みが不十分なので、その仕組みをどうするか、私法プラス公法でいくのか。いっそ公法からスタートするのもい一つの方法」「イメージ図は理想的だが、建替えと既存の棟との売却益の公正な配分方法や敷地の分割など、団地再生事業法はまだ乗り越えるべき課題が多い」等の意見が出た。長谷川氏が提要する団地再生事業法は所有者による団地再生計画決議、行政が都市計画決定する仕組みだが、団地再生事業を都市計画事業おする際の「公共性」判断の根拠が課題の一つとされている。
(マンション管理新聞平成26年9月15日付)

携帯電話基地局設置による賃料収入は『収益事業に該当』~国税庁・ホームページで注意喚起~

投稿日:2014年08月07日 作成者:右田 順久 (17237 ヒット)

移動体通信業者と契約を結び、屋上に携帯電話基地局を設置し収入を得ている管理組合が、税務署から所得の“申告漏れ”を指摘されるケースがここ1,2年増えている。国税庁は、こうした収入は「法人税法上の収益事業に該当する」として、法人税の課税対象になるとホームページ上で告知している。

告知がホームページに掲載されたのは、国税庁によれば7月25日。税法・解釈などに対する対する国税庁の解説・見解等を示す質疑応答事例」に、携帯電話基地局設置に関する項目を加えた。題名は「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」。掲載理由について国税庁課税課監理2係は「こうした案件について、一部の管理組合で申告漏れが数件あった。同様の取り引きが多数見込まれるということで、注意を喚起した」としている。
事例では、携帯電話基地局の設置について業者と建物賃貸借契約を結び、設置料収入を得ることになったが、設置料収入は「法人税法上の収益事業に該当するのか」と質問。質問に対しては、管理組合などの「人格のない社団」に対する法人税は「収益事業から生じた所得のみに課される」と解説した上で「管理組合が賃貸借契約に基づいてマンションの一部を他の者に使用させ、対価を得た場合には収益事業たる不動産貸付該当する」と回答した。「収益事業から生じた所得には法人税が課税される」と結論付けている。
設置料収入は消費税の課税対象にもなる、とした。告知では、前々年度の課税売上高が1000万円以下の場合は当該課税期間、つまり前年度の納税義務は免除されると解説している。ただ昨年1月以降に事業を始めた場合は、前々年度の課税売上高が1000万円以下でも、前年度の事業開始から6か月間の課税売上高が1000万円を超えれば課税対象になる、としている。事例は国税庁ホームページの「税について調べる」→「質疑応答事例」→「法人税」の収益事業項目に掲載されている。

今回の注意喚起は、携帯電話基地局の設置で管理組合が得る賃料収入に対して税務署のチェックが入るケーㇲが増えていることを示しているといえそうだ。そうしたチェックで申告が行われていない実情が認識され、注意喚起につながったと考えられる。
(マンション管理新聞:8月5日付)

団地再生へ検討会~国交省:権利調整・建築規制メインに来年中に結論~

投稿日:2014年07月18日 作成者:右田 順久 (2138 ヒット)

国土交通省は7月7日、有識者による「住宅団地の再生の在り方に関する検討会」の設置を発表した。団地再生の促進を図る為、権利調整や建築規制の在り方などについて、事業法的な観点も含め検討する。7月22日に第1回会合を開き、2015年中をめどに結論を示す。
主な検討事項には団地再生に関する現行制度や課題の整理、団地の建替え・改修の具体的事例分析、団地再生促進策の検討を挙げている。

検討会は浅見泰司東京大学大学院教授を座長に、委員9人と行政等と構成。マンション問題に詳しい鎌野邦樹早稲田大学大学院教授、一般社団法人マンション学会会長の小林秀樹千葉大学大学院教授、明治学院大学大学院教授の戎正晴弁護士の3氏が委員に選ばれている。行政等では法務省民事局、東京都、大阪府、横浜市、都市再生機構(UR)等が参加する。
今年6月に成立した改正マンション建替え円滑化法等法では、マンション敷地売却制度が創設されたが、郊外団地は民間事業者の敬遠が予想され、国会審議で太田昭宏国交相は「改正法等の整備だけでは困難」と指摘。付帯決議でも団地再生に関する幅広い検討が求められていた。焦点となるのは事業法という立法措置の可否。建築基準法の一団地住宅施設決定といった建築規制への対応や、被災マンション法改正の際「敷地分割」が議論されたものの結論が見送られたように、団地特有の複雑な権利関係の調整で妙案がみつかるかどうか。1年半かけて議論する。
(マンション管理新聞7月15日付)

大規模修繕最近の工事費を報告~マン管センター8,9月に東京・大阪でセミナー~

投稿日:2014年07月07日 作成者:右田 順久 (2111 ヒット)

公益財団法人マンション管理センターは、8月27日、9月9日、東京・水道橋の住宅金融支援機構本店すまい・るホールで特別セミナーを2回開く。「マンションの建替え等を巡る動向について」「マンションの大規模修繕工事の進め方のポイントと工事費について」がテーマ。
「大規模修繕工事」については9月11日、大阪でも同内容ノセミナーを開く。詳細は次の通り。

❶8月27日 (時間)午後1時30分~4時 (定員)270人(先着順)(内容と講師)①マンションの建て替え等を巡る動向・マンション建替え円 滑化法の改正の経緯とその内容等ーー国土交通省・マンション政策室 職員、②マンション建替えの為の融資制度ーー住宅金融支援機構職員 *申し込み方法等は、同センターHPで受け付け
❷9月9日 (時間)午後1時30分~4時30分 (定員)270人(先着順) (内容と講師)①計画修繕の考え方と進め方のポイント『計画修繕工事マニュア実務マニュアル改訂版』の解説ーーマン管センター・鈴木了史 技術部長 ②大規模修繕工事の最近の工事費と今後の動向ーー一般財団法人建設物価調査会・橋本真一経済研究部長 ③大規模修繕工事に向け た資金の積み立てと借入に関する制度ーー住宅金融支援機構・牧山賢治マンション再生支援担当グループ長 申し込み方法等はホームページで 受け付け
❸9月11日 会場:住宅金融支援機構近畿支店すまい・るホール (時間)午後1時30分 (定員)80名(先着順)

☆上記の❶~❸のマン管センターHPはこちら以下 ↓

http://www.mankan.or.jp/01_seminar/seminar_in.html

(マンション管理新聞7月5日付より)

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